助手席に座る城ノ口は腕を組んで、視線を宙に泳がせた。
鳥羽も腕を組み、眉間にシワを寄せる。
圭介が鳥羽の推理に突っ込む。
亜美が人差し指をピンと立てて、自分の推理を披露する。
亜美が立てたままの人差し指にあごをのせて考え込む。
鳥羽は全く分からないと言った様子で圭介に尋ねた。
圭介は顎に手を置いた。
そんな真剣な圭介達を尻目に、城ノ口が口を開いた。
鳥羽が笑って頭を掻く。
真剣になりすぎたせいか、後部座席の3人全員が既に車が停車していたことに気付いていなかった。
パトカーから降りると、目の前には細く長い建物が聳え立っていた。
あまりの凄さに言葉を失っていた圭介達の背後から男が声をかけてきた。
鳥羽の言葉を遮るように、城ノ口が前に出た。
勉は笑顔で軽く右手を挙げた。
城ノ口は勉に左手で握手を求めた。
勉も握手に快く応えた。
一通り自分の紹介を終えた城ノ口は次に圭介達の紹介を始めた。
鳥羽も城ノ口に倣って勉に握手を求める。
2人は緊張気味で握手はせず、軽く頭を下げるだけだった。
勉は4人を促すと、ホテルに向かって歩を進めた。
4人も勉の後に続くように、踵を返すと、ホテルに向かって歩を進めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!