21時15分。
『ドンッ』
何の前触れもなく突然部屋のドアが開かれると、例のごとくカーキ色の戦闘服を着た2人が現れた。
タケが拳銃を構え圭介達に牽制すると今度はツツと目を合わせた。
タケの意図を汲み取ったのかツツは徐にポケットから手錠と布を取り出すと、三井の目の前で立ち止まった。
三井が自ら立ち上がりツツに怒声を浴びせる。
ツツは三井に挑発的な態度でそう言うと、腰に下げていた警棒を手に取り、思い切り振り上げた。
その瞬間ツツと三井の間に人影が現れた。人影は勢いよく振り下ろされた警棒を素手で止め、ツツの腕をガシッと力強く掴むと、そのまま背負い投げを食らわせた。
一瞬のことで何が起こったのか訳もわからず床に倒れるツツの目に映ったのは、仁王立ちした鳥羽だった。
鳥羽は得意げにガハハと大口を開けて笑うと、今度はタケの方に向き直り柔道の構えをとった。
タケは拳銃をホルスターにしまい、不気味な笑みを浮かべた。
タケの妙な自信に身構えた鳥羽はタケの動きに全神経を集中させた。
次の瞬間タケの背後から飛び出して人影は艶めいた木刀を振りかざし、鳥羽に襲い掛かった。
不意を突かれた鳥羽は咄嗟に木刀を掴もうとしたが、その甲斐もなく首の付け根に強烈な一撃を受けてしまった。
鳥羽がその場に力なく倒れ込むと、木刀を持った戦闘服の男は木刀を鞘にしまい、ポケットから手錠を取り出した。
イワが鳥羽に後ろ手に手錠をかける。
鳥羽から背負い投げを食らって床に倒れ込んでいたツツが起き上がって、木刀の男を称賛する。
イワと呼ばれていた男はそう言って鳥羽に手錠をかけると、今度はツツから手錠と布を奪い取り、暴れる三井に強引に手錠と猿轡を施した。
イワはカードキーを胸ポケットから取り出しタケに渡すと
と言い残し、部屋を出て行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。