玄関のドアに張り付き、覗き穴から廊下の様子を見た鳥羽が腕を組んで壁にもたれかかる。
鳥羽に続き覗き穴を覗いた圭介が頭をかく。
ベッドに座ってこちらの様子を伺っていた藤島が2人の会話に割って入る。
壁から身を起こした鳥羽が藤島に迫る。
藤島は鳥羽に勢いに2、3歩退いて答えた。
今度は圭介が藤島に詰め寄る。
と言いながら藤島は自分の腕時計を確認して
と答えた。
圭介は独り言を呟くと窓際の椅子に軽く腰掛け、この檻から脱出する方法について思案を巡らせた。
ソファに座っていた三井が考え込む圭介に策を提案した。
城ノ口が案を出した三井を褒めたたえた。
圭介の向かいの席で俯いていた亜美も顔を上げて賛成する。
圭介はそう言って受話器を取ると、先ほどと同様に7011をプッシュした。
2回コールがした後、男の声が受話器から聞こえてきた。
勉はまた生贄のことだと思っているのか、声が少し沈んでいた。
圭介の様子に何かを察したのか、勉は訝しげに聞き返した。
予想にもしなかった答えに多少の戸惑いを見せたが、一瞬で落ち着きを取り戻し、勉はさらに質問をした。
一瞬にして計画を否定された圭介は、訳が分からず勉に聞き返す。
圭介の反応から何となく話の内容を察したのか部屋には暗い雰囲気が漂った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。