このホテルに来て3度目の集会に向かうツツは少し心配していた。
周防という人間を捕らえに部屋に入った時、2人のガタイのいい人間がこちらをものすごい形相で睨んでいた。
ツツ自身も空手を得意としているが、正直2人相手には歯が立たないだろう。
そんなことを考えていると、またいつもの扉の前に行きつき、ツツはドアノブに手をかけた。
薄暗い部屋にはイワだけがおり、すでにカグツチ様の元へという向かっていた。
イワはスマホに目を向けつつ、呆れたというような冷めた様子でそうこぼした。
ツツもイワの冷め切った様子に半ば呆れながら、気のない返事をした。
ネクとヒヤが肩で息をしながら部屋に入って来た。
ツツはイワに責められるであろう2人を不憫に思い、自分は出来るだけ優しく2人を迎え入れた。
イワはスマホから目を離さず、部屋に入ってきた2人に嫌味をぶつけた。
この気まずい雰囲気を払拭する様に2人を席に座るよう促すと、ツツもポケットからスマホを取り出した。
ウェブブラウザの履歴からあるURLを選びタップする。
『●●●●●●●●●』
自分専用のパスワードを入力すると、炎の奥から人影が現れた。
ディスプレイの下側が少し暗くなり、紅い文字が5人に問うた。
水色の文字が先程起きたシステムのトラブルを報告する。
紅い文字は水色の言葉に責めることなく、反対に労いの言葉を並べた。
灰色の文字がすかさず反応する。
その名にツツは嫌な予感がした。
周防の時のこともある。何か対策を講じなければならない。そう感じたツツはスマホを閉じるとイワに耳打ちした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。