第95話

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2023/01/13 12:45


  
大森 元貴
 …… 

  ここでは、時間が分からない。


  彼女もどこにいるのかさえ分からない。


  寂しい、でも、なんとなく


  現実世界に戻るのは嫌。

  ベッドに横たわる
大森 元貴
 はぁ、… 

  色の無い生活


  ああ、このまま

  時間だけが過ぎていくのだろうか。

  それとも、このまま揺蕩えば

  楽なのかな、

  代償に、過去が色褪せていくけど


 


  あれ、過去って?



  この生活に華を感じない僕は

  過去はもっと幸せだったのかな。



  なんで思い出せないんだろう

  思い出そうとすると、

  脳がそれを拒否して、真っ黒になる。



  このまま、


  この色のない世界で


  このまま、


  滴り、枯れて、散っていけば


  そこ過去に辿り着くの?



大森 元貴
 …、っ、はぁ…っ、 
辻井 あなた
 、!! 
辻井 あなた
 大丈夫、!? 
辻井 あなた
 どうしたの、? 
辻井 あなた
 元貴…? 

























 若井 side





 大森さんと、あと彼女さんの辻井さんが 
乗っていたタクシーが交通事故を ____







  嘘だと言って欲しかった。

  俺は、急いで言われた病院に向かう。



  病院の廊下で

  手当をされ、包帯が巻かれた元貴を見つける。
若井 滉斗
 元貴、!! 
大森 元貴
 、わ、かい… 
  俺を見た元貴の表情は

  まさしく 無 だった。
若井 滉斗
あなたは?、
大森 元貴
  元貴が首を横に振る
若井 滉斗
 は? 
若井 滉斗
 あいつ… 
大森 元貴
 死んでないよ、身体はね。 
大森 元貴
 脳死かもって、 
若井 滉斗
 、、 
  淡々と元貴が話す。

  その目には光など無い。
大森 元貴
 、意識が戻る確率は 
0に近しいって


  俺は、元貴をキツく抱きしめる

大森 元貴
 っ、… 

  元貴が大声を出して泣き喚く。
若井 滉斗
 大丈夫、俺が、
俺が、ずっとそばに居るからな、












  次の日、あなたの病室に

  お見舞いに言った。


  事故による怪我はあるものの、

  ちゃんと息してるし、

  手もあったかいし、

  
大森 元貴
 わかい…  


  片手にあなたが好きなオレンジを持って

  元貴が顔を出した。

若井 滉斗
 嘘みたいだよな、 
大森 元貴
 …、 


大森 元貴
 ねえ、あなた 

  元貴があなたに話しかける

  が、返答はない。
大森 元貴
 ねぇ、ってば 
大森 元貴
 いつもみたいに返事してよ、 
大森 元貴
 ねえ、… 
若井 滉斗
 元貴… 
大森 元貴
 、!!僕が求めてるのは
あなたの返事なの!!!

  泣きながら元貴が叫ぶ
若井 滉斗
 …ごめ、 
大森 元貴
若井 滉斗
 っ、元貴!? 

  いきなり元貴が倒れ込む
若井 滉斗
 、誰か!!! 


















  あれから三日経った。
  二人とも起きる気配がない。

  元貴に関しては、時々魘されている。

  
藤澤 涼架
 元貴、? 
山中 綾華
 …、、 
高野 清宗
 なんでこんなことに… 



  医師からは

  彼女を失ったことによる総合失調症と

  過労によるものだと言われた。



  起きろよ、

  お前まで居なくなんなよ…









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