第96話

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2023/01/15 07:10







  
辻井 あなた
 ねえ、起きてって、 
辻井 あなた
 起きてってば、 
辻井 あなた
 もう、笑笑 




  僕の隣で、彼女が笑う。


大森 元貴
 、あとちょっとだけ… 
辻井 あなた
 ねえそれさっきも言ってた!! 
大森 元貴
 うるさいなあもう… 


  僕はそんな彼女を抱き寄せて

  一緒に布団に入る。
辻井 あなた
 もう、!!笑 
大森 元貴
 いいじゃん、今日何にもない日だよ、 
辻井 あなた
 お出かけしようよ 
大森 元貴
 …ん、いいよ 












  あれ…
  この感じ、体験したことある。

  デジャヴ??



  
辻井 あなた
 帰ったらなにする? 
大森 元貴
 ゲームしようよ 
辻井 あなた
 またー!? 
辻井 あなた
 いいけどさ、笑 
大森 元貴
 やった 




  僕もあなたも笑顔








  あなた、
  …、心臓がドクドクと鼓動を早める



  そうだ、

  辻井あなたは、僕の愛してやまない彼女。

辻井 あなた
 そういえばこの前滉斗がね、?笑 


  若井、

  僕の大切な親友





  涼ちゃん、綾華、清宗


  僕の中のパズルのピースが

  全部全部はまっていく。




  、!!

  この日、

  僕とあなたは交通事故に会うんだ。

  やめて、繰り返したくない。



  ここから逃げ出したい!!










辻井 あなた
 元貴、大好きだよ 
辻井 あなた
 早く行きな、!! 



  気付くと幸せな夢から覚めて

  いつもの白い空間にあなたとふたり

  「 記憶、戻ったんだ 」と、静かに呟くあなた
大森 元貴
 ね、嫌だ、此処ってあの世かなんかなの?
あなたも一緒に…
辻井 あなた
 、ここから出れないの… 
大森 元貴
 どうして? 
辻井 あなた
 わかんないよ、
大森 元貴
 、あなたが居ないのに 
大森 元貴
 そんな世界で
なんで僕は生きてかなきゃいけないの?
辻井 あなた
 元貴、、 
大森 元貴
 嫌だよ、 
辻井 あなた
 だめ、元貴が居ないとみんな悲しむ 
大森 元貴
 あなたが居ないと僕はだめなんだって、! 
辻井 あなた
 わたしだって、
出れることなら早くこっからでたいよ
辻井 あなた
 でもそれは、すなわち死ぬってこと 
辻井 あなた
 身体があるのに、
意識が戻らないってことは
わたしはもうだめなんでしょ、?
辻井 あなた
 現実世界では、わたしは
もう植物状態ってことなんでしょ?
辻井 あなた
 、気付いたら此処に居て 
誰かに言われたの
辻井 あなた
 もし此処に誰かが来ても 
自分から招待を話してはいけないって
辻井 あなた
 お前は此処で死を待つのみって、 
大森 元貴
 そんなの、 
辻井 あなた
 此処はね、 
辻井 あなた
 脳死の人とか
あるいは、生死をさ迷ってる人が
天と地に裁かれる前に待機してる様な場所
脳が死んでてね、精神だけ此処にあるの
辻井 あなた
 つまり、元貴が来るべき所じゃないの 
大森 元貴
 でも、 
辻井 あなた
 元貴がさっき見ていたのは 
此処で見ていた夢
辻井 あなた
 元貴の部屋も、
本当は私からは見えてないよ
辻井 あなた
 全部全部、此処の景色は元貴が作ってる 
辻井 あなた
 わたしには違う景色が見えてる 
大森 元貴
 …ねえ、ほんとにわかんない、 
辻井 あなた
 、ふふ 
辻井 あなた
 ごめんね説明下手で 
辻井 あなた
 知らなくていいよ、 



大森 元貴
 此処にさまよったのは
意味があることだと僕は思うの
大森 元貴
 此処には僕とあなたしか居ない 
大森 元貴
 あなたを助けれるのは僕だけ 
辻井 あなた
 ねえ、自分を優先して、? 
大森 元貴
 優先した結果、残るのは 
僕が望んでない未来なんだよ、
辻井 あなた
 方法が、無いの、! 
辻井 あなた
 元貴は戻る余地がある 
辻井 あなた
 戻ろうと思えば戻れる、
今だって、本当は願えば戻れるでしょう?
大森 元貴
 ねえ、僕、あなたが居なくなって 
何も出来なくなった。
大森 元貴
 食事も、睡眠も、笑顔も作れない 
大森 元貴
 そんな世界に戻って 
僕になんのメリットがあるの、?
辻井 あなた
大森 元貴
 嗚呼もう!!!若井うるさい!! 
辻井 あなた
 滉斗、? 
大森 元貴
 、頭の奥で若井がずっと叫んでる 
おい元貴、起きろ、って
辻井 あなた
 、ね、元貴には戻るべき場所が 
あるんだよ、?
大森 元貴
 嫌だ、
なんで、引き止めてくれないの、?
辻井 あなた
 元貴が大切だからだよ、 
大森 元貴
 だったらなんで、 
辻井 あなた
 元貴が元気でいるのが、
わたしにとって一番……
辻井 あなた
 嘘、一番は二人で
変な話して、笑い合うこと
大森 元貴
 、… 
辻井 あなた
 でもね、戻れないから 







大森 元貴
 …じゃあ一旦、帰る 
大森 元貴
 でも、もう1回、
戻ってくるから、必ず
大森 元貴
 僕が絶対、あなたを守るから 
大森 元貴
 助けに来るから、待ってて、 











  頭の中で若井が僕に手を差し出してくれている。

  ちょっと前からだ、

  この手に応じると、きっと

  僕は、現実世界で目覚める。

  此処から出られる、

  それはなんでかって言うと

  僕は命に別状はないから、

  精神的な問題で此処に来てしまった訳なんだ。


  でも彼女は違う。

  彼女はきっと、僕が目覚めた現実世界で

  あの日と変わらず静かに眠ったままなのだろう
  此処…


  というより、

  きっと此処はあなたの意識内。


  
辻井 あなた
 、期待はしてるよ 
大森 元貴
 うん、期待してて 

  僕はそっと彼女を抱き寄せる。

  温かさは感じない。

  此処に来て初めてあなたに触った。
辻井 あなた
 、元貴私に触れれないでしょ? 
大森 元貴
 、?触れれては居るけど、 
辻井 あなた
 え、? 
大森 元貴
 え? 
辻井 あなた
 ふふ笑訳わかんないね、この世界笑 
大森 元貴
 ほんとね、 

  いつものように笑い合う。
大森 元貴
 じゃあ、またね、
辻井 あなた
 うん、またね 


  僕は若井の声に応じる

  待っててね、

  僕は絶対にあなたとの未来を掴むから













辻井 あなた
 期待をして、傷付いて、
無くなるもんと分かってるならさ
辻井 あなた
 最初から何も要らないんだよ。笑 







  白い世界で、一人の女性が

  寂しげにクスりと笑った。




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