《テオくんside》
言ってしまった。
いや、
俺が故意的に言った。
もう伝えるしかないと思ったから。
今の関係はどうなるとか
スカイピースが壊れてしまうとか
そんなのもうどうでもよくて。
気まずいからスカイピース辞めたいとか言い出しても
俺は絶対に引き止める気しかないし。
強がって見つめていたiPhoneから目を離し
じんたんの方へと向ける。
と、
その涙は、なんの涙?
信じちゃってもいい涙?
それとも、駄目な涙?
じんたんの泣き顔は毎回強がるような顔で
そして、
綺麗だった。
その承認を求めるような問いに
俺の心が少しずつ満たされていくのを感じる。
そんなにびっくりしなかったのは何故だろうか。
俺にはそんなに自信がなかったはずなのに。
叶うはずの恋じゃなかったのに。
俺がそう言うと
じんたんは袖を引っ張って顔を覆った。
もう、いいよね?
気持ちが通じ合ってるって信じても。
俯いて縮こまって
いつもより小さくなっているじんたんを
俺の腕の中に収める。
そうするとじんたんは、頭を俺の胸に預けてきた。
こういうとこ、本当に甘え上手だ。
もう分かっている。
俺はそんなに鈍感じゃないから。
もう既に俺には余裕があった。
ぼそ、と呟くじんたん。
その言葉を待ってたんだよ。
珍しくじんたんが弱音を吐いた。
恋に臆病なじんたん。
俺が " 好き " と伝える直前
じんたん相当不安だったんだろうな、と
自分で考えて思わず笑ってしまう。
相方、という関係から
恋人、という関係になっただけで
その他はなんの変化もないのに
満たされてしまう。
人間は複雑に見えて、単純な生き物だ。
篭った声で訴える。
これからの生活に " 光 " しか見えなくて。
せっかく恋が実ったんだから
俺らは幸せになれる、
いや、俺が幸せにする。
____この " 命 " が尽きるまで。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。