《テオくんside》
あれから俺たちは
今まで以上に、更に関係が深くなっていった。
とは言っても恋人らしいことはしてないんだけど。
ただじんたんが俺のものになったっていうだけで
心がどんどん満たされていく。
" 君がいれば他には何もいらない "
そんな言葉なんて綺麗事だろ、って思ってたけど。
意外と本当の事なんだなって。
俺がそういうと
照明をセットしていたじんたんが振り向く。
" 何? "
と言うよりかは、
" なぁに? "
に近いだろうか。
こんな些細なことだけで、可愛いと思ってしまう。
こんなに幸せになって大丈夫だろうか?というほど。
ちょっと照れくさそうに笑う姿。
…少しは行動に移してみようかな、
____ピリリリリリ、
名前を呼びかけた俺を遮って
じんたんのiPhoneが鳴り響いた。
久しぶりの電話なのか、少し微笑んで応答している。
こうやって家族を大切にするところも
じんたんのいいところのひとつで。
でもしばらく待っていると
だんだんじんたんの表情が固くなっていった。
何かあったのだろうか。
電話を切ったじんたんは
焦ったような、泣きそうな顔をしていた。
なるべく傷つけないように、慎重に。
口に出してしまうともう駄目なのか
だんだん目が潤んでいくじんたん。
カメラを切って
じんたんがすぐ出られるように準備をする。
でもじんたんはなかなか動かなくて。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。