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第5話

5話 なに、俺が恋しくなっちゃった?
篠宮 来希
篠宮 来希
遅くまで別の男とピアノの練習とか、
妬けるなー
あなた

嘘つき、嫉妬なんてしてないくせに

すぐさま嘘を指摘すれば、
来希に首筋をちゅっと吸われた。

チクリとした痛みが走り、
顔を上げた来希はにやりとする。
篠宮 来希
篠宮 来希
キスマーク、
見るたび俺を思い出してよ
あなた

(また、思ってもないことを……)

あなた

痕、つけるのやめてよ

篠宮 来希
篠宮 来希
ずっと髪を下してたら、
誰にもわからないって。
俺たちみたいに、こう……
密着しない限り
来希は私のワイシャツの襟に
指をかける。
篠宮 来希
篠宮 来希
あなたを独占できるなんて、
うれしいね
あなた

私以外の女の子とも平気で寝るくせに、
お世辞をありがとう

篠宮 来希
篠宮 来希
でも、あなたは怒らない。
だから楽だよ
そうして、今度は唇にキスをしてくる。
あなた

(おかしいな)

あなた

(いつもなら、フェイクでも一時は
愛されているような気になれたのに)

かりそめの恋愛がいかに空っぽなのか、
気づいてしまったから、
なのかもしれない。

来希に触れられても、
心が満たされることはなかった。

***

ある日の放課後、
私はまた第2音楽室にいた。
笹葉 拓
笹葉 拓
なあ、あなたって、
どうしてピアノを始めたんだ?
あなた

……どうして、そんなことを
聞くんですか?

あなた

(正直、この話題には触れられたくない。
だって、ピアノを始めた理由を説明する
としたら、お母さんのことも話さなきゃ
いけなくなる)

あなた

(まだ口に出せるほど、
心が癒えてないし……しんどいな)

笹葉 拓
笹葉 拓
ほら、俺ばっかいつも
ベラベラ話してて、
あなたのことって
聞いたことなかったなってさ
あなた

私のことなんて、別に知らなくても
いいじゃないですか

あなた

私にかまってる暇あるなら、
例の彼女とたくさん話してくださいよ

笹葉 拓
笹葉 拓
彼女は彼女、あなたはあなた。
俺は友達として、あなたのことを
知りたいんだよ
あなた

え、私たちって友達だったんですか

笹葉 拓
笹葉 拓
それは落ち込むぞ、
あなた……
本気で肩を落としている先輩を見ていたら、
ものすごく酷いことをした気になる。
あなた

(仕方ない。事実をさらっと説明すれば
いいんだし……いいか)

あなた

お母さんが弾いてたから

笹葉 拓
笹葉 拓
そっか、あなたのお袋さんが……。
よく、ふたりでどんな曲を
弾いてたんだ?
あなた

いろいろです。いろいろ……

笹葉 拓
笹葉 拓
俺にも、その曲弾いてくれ──
──ダーンッ!!

力任せに鍵盤を叩いたら、
不協和音が響き渡った。

大事な楽器を傷つけた、
そんな罪悪感に苛まれる。
あなた

無邪気って、ある意味凶器ですよね

笹葉 拓
笹葉 拓
え……
あなた

ズカズカ、人の心に
土足で入ってこないで

言い出してしまったら、
止まらなかった。

お母さんのことについて、
根掘り葉掘り聞かれて、
途端に思い出してしまった喪失感。

お母さんを失った悲しみを思い出し、
耐えられなくなった私は……。
笹葉 拓
笹葉 拓
──あなた!
呼び止められても足を止めずに、
音楽室を飛び出した。

その足で向かったのは、来希の家。

──ピーンポーン。
篠宮 来希
篠宮 来希
はいはーい……
お、あなたじゃん
あなた

…………

篠宮 来希
篠宮 来希
なに、俺が恋しくなっちゃった? 
あなたなら、通い妻になってもいいよー
あなた

…………

私が黙ったままだったからだろう。

来希も口を噤み、一拍置いてから、
家に入りやすいように横にずれる。
篠宮 来希
篠宮 来希
とりあえず、入りなよ