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第6話

6話 嫌なこと、忘れさせてあげるよ
ベッドの中で、
来希の腕に抱かれながら事を終えると……。
篠宮 来希
篠宮 来希
……で、なにかあった?
衣服を纏わず、
まだ熱を持っている素肌を重ねたまま、
来希が私を抱きしめて尋ねてくる。
あなた

興味ないくせに、
優しい彼氏のふりしないで

篠宮 来希
篠宮 来希
それがさー、
俺自身も不思議なんだけど。
あなたのことは他人事に
思えないんだよね
あなた

(それは、私たちが同族だからでしょ)

来希の母親はほとんど家にいない。

遊び歩いているからだと
前に聞いたことがある。

こうして来希が家に女を連れ込んでも
なにも言わないし、
無関心なのだと来希本人は言っていた。
あなた

(だからなんだろうな。
私がここに逃げ込んできたのは)

あなた

(来希は私と同じく汚れてる。
取り繕う必要ないし、
一緒にいて疲れない)

篠宮 来希
篠宮 来希
あなたのドロドロした感情を聞いてると、
俺だけじゃないんだってほっとする。
だから話せば?
あなた

(たしかに、来希に隠す必要はないか)

あなた

……キレイすぎる人を見てると、
イライラするってだけ

思い出されるのは、拓先輩の純粋な瞳。

ピアノを始めた理由は、
私にとってキレイで温かくて、
一点の悲しみもない思い出に違いない。

そう疑っていない顔だった。
篠宮 来希
篠宮 来希
それ、俺も同意見。
なにいい子ぶってんのって思う
あなた

世の中を知らなさすぎなのよ。
どんなにヘラヘラしてる人間でも、
心の内にどす黒い闇を抱えてるかも
しれない

あなた

そう言う想像力が働かない人って、
きっと……なにも失ったことがないんだ

篠宮 来希
篠宮 来希
…………
あなた

でも、たぶん拓先輩は……。
本当にキレイなんだと思う

篠宮 来希
篠宮 来希
ふうん……拓先輩、ね
意味深な返しをした来希は、
私の思考を邪魔するように、
覆い被さってくる。
篠宮 来希
篠宮 来希
嫌なこと、忘れさせてあげるよ
舌なめずりをした来希に、
やっぱりこの人のそばにいるのは
楽だと思う。

私は返事の代わりに、
そっと目を閉じた。

***

翌日、放課後になって音楽室に行くと、
すでに拓先輩がいた。

しかも、ピアノの前に座っている。
あなた

(気まずい……なんでここにいるの?)

あなた

(まさか、昨日のこと責めに来たとか?
後輩のくせに生意気だって)

笹葉 拓
笹葉 拓
昨日は遠慮なく
いろいろ聞いたりして、
ごめん!
ガバッと頭を下げてくる拓先輩に、
拍子抜けする。
あなた

それを言いに……。
わざわざ待ってたんですか?

あなた

(信じられない。
私、ひどいこと言って突き放したのに、
もう会いたくないって思わないの?)

笹葉 拓
笹葉 拓
当たり前だろ!
俺、あなたのこと傷つけたって、
すげえ落ち込んだんだからな
怒ったようにムッとしている拓先輩に、
私はただただ驚くばかりだった。
笹葉 拓
笹葉 拓
だからお詫びに来たのと、
いつも励ましてもらってるから、
そのお礼をしにきた
あなた

お礼?

拓先輩は深呼吸すると、
鍵盤に指を乗せ、あろうことか
へたっぴなキラキラ星を弾き始めた。
あなた

(ときどき音が外れてるし、
テンポもめちゃくちゃ。だけど……)

あなた

ぷっ、下手くそ

つい笑ってしまうと、一生懸命
鍵盤とにらめっこしていた拓先輩は、
弾かれたように顔を上げ……。
笹葉 拓
笹葉 拓
……! 笑ったな