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第2話

2話 男の子の涙
あなた

(この人……さっき来希と
キスしてるところを 
見られた男子!)

あなた

(というか、この教室に
先客がいることくらい、
音がしてるんだから
わかってるでしょ?)

あなた

(泣かれながら入ってこられるとか、
気まずい……)

泣いている理由には興味がなかったので、
彼のことは視界に入れないように、
ただピアノを弾く。

すると……。
???
???
俺、実は後輩の女の子に片想い中なんだ
あなた

(誰も聞いてないんだけど)

???
???
図書室の貸し出しカードを見たら、
たまたま同じ本を借りる率が高くて、
それで……
頼んでもいないのに、
ぽつりぽつりと自分の恋愛話を
打ち明けてくる彼は、
手近な椅子に腰かける。
???
???
気になり出したら止まらなくて、
いつの間にか好きになってた
あなた

(好きになった理由がピュアすぎる。
それ、小学生レベルなんですけど……)

???
???
でもさっき、その子に好きな人が
いるって言われちゃってさ
あなた

(報われない系の片想いか……)

気づけば、彼の話に耳を傾けている
自分がいた。
あまりにもしょんぼりしているので、
さすがに放っておけなかったのかもしれない。
???
???
気持ちを伝えてもないのに
失恋かーって撃沈してたところに、
きみのピアノが聞こえて……
あなた

(今度は私の話?)

???
???
なんかもがくみたいに
苦しげな音をしてたから、
他人事に思えないっつーか、
気づいたら足がここに向いてた
あなた

(驚いた)

これまで上手だねと
ピアノを褒められることはあっても、
苦しみながら弾いていたことを
見抜かれたことはなかったから。
???
???
やっぱいいな、この音。
悲しい気持ちを否定しなくて
いいんだって、そう思わせてくれる
目をつぶり、私のピアノに
聞き入っている様子だった。
あなた

(色のない私の音を、
ありのままこの人は必要として
くれているの?)

お母さんが残したピアノの音。

それを再現できない自分を許されたような、
そんな安堵感に包まれる。
???
???
なにも言わずにいてくれて、
ありがとな
あなた

(なにも言わなかったんじゃない。
興味がないから、聞き流しただけ)

あなた

(それなのに、勝手に解釈して
感謝して……お人好し)

にかっと笑った彼を見つめながら……。

自分の空っぽなピアノでも、
必要としてくれる人がいる。

その事実にかすかではあるけれど、
胸に希望の光が灯るのを感じた。

***

翌日の放課後。

当番で図書室掃除をしていると……。
あなた

(まじか……)

昨日、音楽室で失恋の告白をしてきた男子が、
本棚の陰に隠れながら、ひとりの女子生徒を
見ているところに遭遇してしまった。
あなた

(たぶん……っていうか、
確実にあの子が好きな後輩の
女の子なんだろうな)

あなた

ストーカーか

その横を通り過ぎる間際に、
ボソッと呟く。
???
???
あっ、きみ!
呼び止められたかと思ったら、
ついでに腕も掴まれた。
あなた

私、掃除中なんだけど

???
???
悪い! つーか、昨日は
ほんとありがとな
あなた

お礼、言われるようなことしてない

???
???
そういえば、自己紹介まだだったな。
俺は笹葉 拓ささば たく 、高3だ
あなた

(年上!? あまりにピュアだったから、
後輩だとばかり……)

あなた

笹葉先輩ですね、じゃあ私はこれで……

笹葉 拓
笹葉 拓
拓でいいって。
それよりきみの名前、聞いてもいい?
あなた

……倉持 あなたですけど

先輩なので一応、
難癖をつけられないように
自己紹介をする。
笹葉 拓
笹葉 拓
あなたか、よろしくな!
あなた

(いきなり呼び捨て!?
人懐っこいにもほどがあるよ……)