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第4話

4話 正反対の恋
拓先輩は純粋で、まっすぐで、
健全な恋をしていて……。

私とは対極にいるような存在。

だからかな、興味がわいていた
のかもしれない。
笹葉 拓
笹葉 拓
今日、廊下で彼女と目が合ったんだ
あれから、放課後になるたび、
音楽室に恋愛相談にくるようになった拓先輩。

私もピアノを弾かずに、
話にちゃんと耳を傾けるようになっていた。
笹葉 拓
笹葉 拓
しかも『こんにちは』って
言ってくれて、明日、
オススメの本をお互いに
貸し合おうってことになった!
あなた

(そんなちっぽけなことで
喜べるなんて……)

あなた

(いや、そんなふうに思う私が
すさんでるのかも)

あなた

(拓先輩は、きっと純粋で甘え上手で、
キスも手を繋ぐのも初めて、みたいな
ピュア彼女と付き合うんだろうな)

あなた

(それに比べて……。
私と来希の関係はどうだろう)

悲しみから逃げて、心を閉ざした自分。

来希も、いつもチャラチャラしてるけど、
あれはあれで苦労してるのだ。

キャバクラで働く母親と2人暮らしで、
母親は彼が幼い頃から男を家に
連れ込んでいたのだとか。

だから、女そのものに失望している。

たぶん、欲求不満を解消するために
都合がいい存在……程度にしか
思っていない。
あなた

(私も来希も、お互いに愛情が
不足していて、それを埋めるための
利害の一致で付き合ってる)

あなた

(それを承知の上で、一緒にいるんだ)

一途に誰かを想う拓先輩を見ていると、
自分と来希の関係がどれだけ
虚しいのかに気づく。
あなた

(本当の愛情がそこに
あるわけじゃないから、
どんなに肌を重ねても空っぽなんだ)

そう思ったら心が沈む。

気づかないうちに俯いていると、
拓先輩が下から私の顔を覗き込む。
笹葉 拓
笹葉 拓
大丈夫か?
あなた

あ、はい……。
すみません、ボーっとして

慌てて平静を装うも、
拓先輩は心配そうに黙り込んでいた。

少しして、なにかを思い出したように
ポケットに手を突っ込む。
笹葉 拓
笹葉 拓
……やる
拓先輩が私に差し出したのは、
ソーダ味の飴だった。
あなた

なんですか、これ

笹葉 拓
笹葉 拓
甘いもんでも食って、
少しは元気になんねえかなーと
あなた

私は子供ですか!

笹葉 拓
笹葉 拓
ははっ、まあ俺よりは、
あなたのほうが大人だよな。
精神年齢的な意味で
拓先輩は犬猫にするみたいに、
私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

鼓動がとくんっと跳ねる。
あなた

(子供扱いされてる……。
私、そういうキャラじゃないのに)

来希は相手を素直に甘やかしたりしない。

私がなにを求めているのかを探って、
わざと妬かせるような行動をとったり、
焦らしたり……。

駆け引きの行程をゲームみたいに
楽しんでいる。
あなた

否定はしません

笹葉 拓
笹葉 拓
そこはしろよ
わざとらしく眉をハの字にして、
先輩は肩をすぼめてみせた。
あなた

だけど……ありがたく
もらっておきます

飴ひとつで、
胸が軽くなっている自分に驚く。
あなた

(この人はきっと……)

あなた

(ただそばにいるだけで、
誰かを陽だまりに連れていって
しまう人なんだ)

あなた

(そんな先輩の隣にいるのは、
居心地がいい……)

***

拓先輩が帰ったあと──。

入れ替わるように音楽室に入ってきたのは、
来希だった。
篠宮 来希
篠宮 来希
最近、俺のこと放置しすぎじゃない?
ピアノの前に座っている私に近づく来希。

私の髪を掻き上げ、
あらわになった首筋に唇を押しつけてくる。
篠宮 来希
篠宮 来希
遅くまで別の男とピアノの練習とか、
妬けるなー