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第3話

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2,187
2018/02/04 20:50
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あなた「ちょ、ちょっと待って…下さい… どこに行くんですか…?」

宏太「……いいから。」

敬語で話していたぐらいだから、雑誌の撮影以外で触れる機会は無かったし、この時、手首を掴まれて連れて行かれた事には驚いた。

あなた「よ、良くないです…!」

無理矢理解こうとしても動かない薮ちゃんの手に、『男の人ってこんなに力強いんだな…』なんて少し感心している自分は本当に呑気だったと思う。

宏太「変わらないね。」

あなた「…えっ……⁇」

『変わらないね』そう呟いた薮ちゃんの言葉は、目的の場所に連れて行かれて話し合いが始まるまで 私には理解が出来なかった。

それから、長い長い、目的地までの廊下を歩いている時は一言も話さなかった。
…というか、話せなかった。

宏太「入って。」

薮ちゃんが突然止まったのは【会議室】と書かれた部屋の前だった。
…もしかしてここで何かされるのか。
…人体検査とか…⁇
…わ、私みたいな子供には刺激が強い あんな行為⁈
と、勝手に妄想を繰り広げていた私は頑なに入るのを拒んだ。

宏太「…まったく…。」

が、私は背中を押されてその部屋に飛びこんだ。

あなた「ひゃっ⁈」

会議室の中にはJUMPのメンバーと、マネージャーさんが円を作って座っていた。


涼介「…遅すぎ。」

あなた「ごごっ、ごめんなさい…。」

大貴「ここに来るまで一体何分かかったの。」

鞄の中の携帯を取り出し時間を確認すると、表示されていたのは18:35の文字。
スタジオを出たのは18:00ぴったり。
普通の人が歩けば10分もかからないであろう距離を たっぷりと時間をかけて歩いていた。

あなた「さ、30分…以上…。」

大貴「はぁ…。」

大ちゃんのついた溜息と、他のメンバーの疲れた表情からの緊張で震える手足を見て口を開いたのは ゆーと。

裕翔「別に、怒ってる訳じゃないんだけど。」

あなた「えっ…?」

裕翔「…まぁ、それも含めて話したいし、とりあえず座ってよ。」

そう言って指をさしたのはさっき溜息をついた大ちゃんの隣。
震える手足を動かして歩く姿は、きっとロボットみたいだったと思う。

席の前まで行ったはものの、相変わらず震え続ける手足に ぎゅっ、と力を込めた。

侑李「座って⁇」

あなた「は、はいっ…。」

言われた通り座ると、指揮をとったのはひか。

光「気づく事、無かった?」

あなた「き、気づく事…⁇」

光「そう、いつもと違う事。」

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