私は静岡に住む就活生。
というか静岡に住む事になってしまった就活生。
就活生真っ只中、父の仕事の都合で両親は海外へ。
母が、私一人じゃ心配だと言い出して隣の県、
静岡に住むいとこの所へ行く事に。大学が静岡にあるから近くなったは良いけど、
その〝いとこ〟は私が小学生の頃に会ったのが最後で正直余り…いや、全く覚えてない。
6つ上だって聞かされたけど、上手くやれるかな…。
『ん…?ここ…って、』
住所を手がかりにいとこの家を探し、目的地につくとめちゃくちゃ見覚えのある家。
何回も何回も見た事のある三階建ての家。
『じゅ、住所、間違ってないよね?』
いや、似ているだけかもしれない。
現に、同じような三階建ての家が何個も並んでいる。
恐る恐る玄関へと続く階段を登ろうとした時、
三階のベランダから何やら視線を感じた。
『!?』
上を見上げるとキラリと光るレンズの様な物が見えた。防犯カメラ、かな…やっぱりここじゃ無いのかな…不安になってずっと避けていた〝いとこ〟の番号に掛けてみる。
📞prrr…
?「はい、どちら様でしょうか?」
勝手に女の人だと思っていたので男の人の声がして
少しびっくりした。にしても聞き覚えがある声…。
『あっ、!あの、今日からお世話になります、いとこのあなたなんですけど…家がイマイチ分からなくて…』
?「もしかして今階段の前に居る?ちょっとまってt」
自分が喋り終わる前に電話を切られ呆然とする。電話が切れたとほぼ同時くらいにベランダから慌ただしい音とドタドタと階段を降りる音、そして勢いよくドアを開け、こちらに向かってくる一人の足音が聞こえてくる。
?「おいらのいとこ〜!!!!」
『!?!?』
まだ姿は見えていないのに少し遠くから声がして電子機器越しでは伝わらなかった鮮明な声に、私は私の〝いとこ〟が大人気YouTuberの
〝はじめしゃちょー〟
だという事に気が付いた。
は「いとこ〜!!!!!!!!」
『えっ、あ、!!!??!?』
ずっと大好きで見ていた画面の中の人が
今私に向かってにっこにこの笑顔で走ってくる光景に眼がチカチカして、ただ立ち尽くす事しか出来なかった。
『いと、こ?…はじめさんが?いとこ…?』
驚いた顔のまま問いかけると私の〝いとこ〟は
目じりをくしゃくしゃにして「うん!」と笑った。
は「あなたちゃん、だよね!今日から宜しく!」
『よ、宜しくお願いします…?』
こうして私と〝いとこ〟と〝その仲間たち〟の生活が始まった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。