第2話

過去
101
2023/01/30 14:15
点線から改変、それまでは普通の狼と七匹の子山羊の話






ある日、母さんヤギが子ヤギ達に言いました。
「街に買い物に行ってくるから、留守番よろしくね。悪い狼に気をつけるのよ。」
「はーい!」
ヤギたちは、元気に返事をしました。

母さんヤギが家から出て行くのを見ていた腹ぺこ狼は、ヤギたちを食べてしまおうと企みます。

トン トン トン
「お母さんよ。あけてちょうだい。」
低い声です。
「うそだい!狼だ!お母さんの声は、そんなに低くないよ!」

それを聞いた狼はチョークを1本食べて、声を綺麗にしてきました。
トン トン トン
「ただいま、お母さんよ。」
優しい声です。でも玄関からは黒い毛が見えています。
「うそだい!狼だ!お母さんの毛はそんなに真っ黒じゃないよ!」

狼は、更に毛を白く染めてやってきました。
トン トン トン
「お母さんよ。お土産いっぱいだから、早く開けてちょうだい。」
優しい声、白い毛並みです。
「わーい!お母さんだ!」

大喜びで子ヤギたちは戸を開けました。その瞬間、目の前に現れたのは狼です。

「お、お、狼だー!」
子ヤギたちは慌てて逃げましたが、狼は次々子ヤギたちを捕まえて飲み込んでしまいました。

帰ってきた母さんヤギはびっくり。
部屋の中はめちゃくちゃ、子ヤギたちを呼んでも返事がありません。

そのとき、時計の中に隠れていたおかげで助かった7番目の子ヤギが飛び出してきました。
「お母さーん、お兄ちゃんたちが……」

外に出てみると、狼が昼寝をしていました。
お母さんヤギがハサミで狼のお腹を切ると、中から6匹の子ヤギが飛びだしました。

お母さんヤギはオオカミがもう二度と悪いことができないように、お腹に石を詰めました。
そして、糸と針でしっかり縫い付けてしまいました。

目を覚ました狼はとても喉が渇いていました。
近くの井戸で水を汲もうとしましたが、よろけた弾みに井戸に落ちてしまいます。
お腹の石が重く、井戸から出ることができません。
それを見ていた子ヤギたちは、狼はきっと助からないと安心して、お母さんの美味しい料理を食べようと夕食の支度をするのでした。
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井戸に落ちた狼は、まだ生きていました。腹ぺこ狼の強力な胃酸が、ゆっくりと石を溶かしていったのです。

身軽になった狼は井戸から這い上がると言いました。
「クソッ…絶対許さねぇ……」
「なんだか、美味そうな匂いがするなァ。今度こそ全員まとめて夕食にしてやるよ……!」

狼は、ヤギ達の隣の家に住んでいる羊に変装しました。母さんヤギも騙されてしまうほど完璧な変装です。

トン トン トン
「ヤギさん、美味しい果物のお裾分けに来ました。食後にみんなで食べてください。」
「あらあら羊さん、ありがとうございます。」

そう言って母さんヤギはドアを開けました。
勿論、目の前に立っているのは羊ではなく狼です。

「やあ、昼間は石ころごちそうさん。夕飯は美味い肉が食いたくなっちまったよ。」

狼はそう言うとヤギの家族を1人残らず食べてしまいました。

「はぁ、美味かった。丁度いい肉付きだったな。それにしても……」

狼は考えます。
肉食である狼がヤギや羊を食べるのは自然の摂理ではないか。なのにこの谷のヤツらはみんな仲良くして、俺が悪者みたいに言いやがる。
気に食わねぇ。
よし、もう二度とこんな目に合わないようにしてやる。いつでも俺の手元には食料がいて、誰も逆らわないようにしたい。この谷で1番偉く強くなってやる……

狼は、腹の縫い跡をさすりながら不気味な笑みを浮かべるのでした。









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