結論から述べてしまうと、犯人はあのメイドだった。
-----------数時間前----------------
貧しい環境育ちゆえ、名前すら付けられなかった彼女。
2日に1回食べ物が貪れれば幸い。
最低、1日を"水"飲みで過ごす日も少なくはなかった。
幸いにも彼女はアジーム家に拾われた。
奴隷のような立場なのかもしれない、
ただ、毎日ご飯にありつくことが出来るのはどんなに幸運なことか。
初めのうちはアジーム家を良く慕っていた。
その人望から雑用係から少しは進級できたと思われる。
ただ、"拾われた"彼女はこの宮殿から出られなかった。
いや、帰る家がなかっただけ、、、
逆を言えば"拾われた"というのは"一生縛られる"ということを彼女は悟った。とのことだ
こうしてメイドは犯行に至ったらしい。
玉座に座りながらカリム父がそう述べる
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メイド(仮名:カーラ)
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アジーム家当主に問われた。
『そんなにもここが嫌いか』
と。
私は『はい』としか答えようがなかった
国民の生活も見ず知らずゆうゆうと生きていやがる。
民の"幸せ"はこいつらにとっては"普通"とまで言う。
全ての民が幸せになれるように立てた計画は全て民が批判する…
民が苦労出貯めた税は民の為につかわれようとしている。
反乱者以外は…
太陽のようなカリム様。
嫌い…きらい…。
嫌い。
こんな自分が嫌い
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死刑にされなかっただけマシなのだろう。
でも、カーラには帰る家なんてものは無い。
ここにとどまった方が善だろう。
カーラは自分に苦虫を潰すような嫌気が指していた。
ポツリとカーラは自分自身と語る。
『カリム様に持った毒は植物の腐部からのもの』
『あんなにも、毒に侵されているのでは…』
まるで、カーラの犯行を見すえて誰かが犯行に手を加えたかのよう。
カーラは自分の頬を力いっぱい引っぱたく、
頬はヒリヒリと赤く染まっていて少し涙が出そうだった。
自分の毒の知識がなかったんだ。
そう、ことを片付けた。
この宮殿で聞いた最後の言葉はこれであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。