あなたside
新しく買ったフリル付きのキャミソールに、
ピンクのもこもこのパーカーとセットのショートパンツを履く。
大好きなジェルくんのお家に泊まる日が来るなんて、なんだか夢みたい…
でももし他のリスナーさんにバレたら大変なことになる。
でもジェルくんは
『私を信用してる』
と言ってくれた。
ジェルくんを画面越しに見ていた時とは違う何かを今感じてるような気がする。
そう言って彼は廊下へと足を運んだ。
その背中はすごく大きく見えた。
相変わらずかっこいい…
私はすとぷりのライブには3回行ったことがあって、その時見たジェルくんも本当にかっこよかったけど…
今見てるジェルくんは違う『かっこいい』
一緒に話してて楽しいし、落ち着くし。
ジェルくんとしてじゃなくて
一人の人間としてというか、一人の男性としてというか…そんな風な『かっこいい』。
って、あれ…
私のジェルくんへのすきってなんの好き?
推しとしての好き?
人間としての好き?
それとも、
恋の好き……?
だめだ…だめだめ!
ジェルくんは好きだけど、推しとしての好き。
きっとそう。
そうじゃなくてもそう思おう。
私がこんなこと思っててもジェルくんにはきっと迷惑なだけ。
急いで頬に触れると、
雫が一滴垂れた跡があった。
笑いたいのに、
彼の前ではこんな姿で居たくないのに、
そう思えば思うほど涙は零れる。
ぎゅっ
彼の腕の中は暖かかった。
久しぶりにこんなに泣いた気がした。
何が辛かったんのか自分でもよく分からない
だけど彼はずっと、
って言い続けてくれていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。