あれから10分は経っただろうか。
人が混み合うあの交差点からは大分離れて、
今は少し静かな通りを歩いている。
あの時ぎゅっと掴んだ手は、
まだ繋いだまま。
むっとした顔も可愛い、なんて思ってしまう。
そう言うと君は、
「え、ここ?!」
と言わんばかりな驚いた顔をして、
俺を見たりマンションを見たりを繰り返してた。
と言っても、
俺の住んでるとこはそこら辺のマンションよりちょっと高いくらいのところ。
またこのリアクションも可愛いなぁ…なんてな
うぃーん、と静かに開く自動ドアの先にある
エレベーターへ向かう。
3階、2階、1階
と表示が変わって行くのと共に、
ぽーん
とエレベーターが着いた音が鳴り響く。
エレベーターに乗ると、
君はすごくにこにこしていた。
毎回俺に向ける反応やリアクションがかわいくて、
どんどんこの子に惹き込まれて行く。
そして何だかんだで俺の部屋がある23階に着いた。
「2315」
そう表記された部屋の前に止まり、
ドアの鍵を開ける。
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君と俺「だけ」の秘密。
いいと思わへん?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。