第109話

108,マタロウ君の実力!
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2021/12/30 11:28
玉田マタロウ
玉田マタロウ
それは……僕、じいちゃんがいたからできたんだ……じいちゃんがいなきゃ……うぅっ、うっ……!
じいちゃんが死ぬなんてイヤだ。
いなくなるなんてイヤだ。
涙は絶えず流れ落ちる。
だけど、おじいちゃんはマタロウの手を離して、まるで未来を見るような目で遠くを見つめて言った。
マタロウの祖父
マタロウ……じいちゃんには見える……お前は、宇宙一のヒーローになれる……
玉田マタロウ
玉田マタロウ
じいちゃん……!!
そうだ……そうだよ!

あれから僕は、ずっとおじいちゃんのあの言葉を信じて、守ってきたじゃないか。

『努力して、工夫して、向かい合う』……
1日も忘れる事なく、その言葉の通りに、僕は今日まで生きてきたんだ!
玉田マタロウ
玉田マタロウ
ぐっ……
怨念のタマゴに投げ飛ばされて痛む体に、力を込める。
玉田マタロウ
玉田マタロウ
(努力して……工夫して……向かい合う)
大事な大事なその言葉を、心の中で読み上げる。
そんなマタロウの耳に、ジンペイの声が入ってきた。
寺刃ジンペイ
寺刃ジンペイ
よく考えてみろ、マタロウ!!
この学校に入れたのだって
じゃない。
お前は自分でベストな塾を選び、友達に勉強を教えてもらい、過去の出題を分析して的中させた。
お前は自分の力で、勝ち取ったんだ!!
姫舞(なまえ)
姫舞あなた
そうよ!!
全部、マタロウ君──あなた自身の実力なの!
マタロウ君の努力が身を結んだからこそ、あなたは今ここにいるの!
これを乗り越えれば、マタロウ君は本物のヒーローよ!!
ジンペイとあなたの言葉に、マタロウはハッとする。
玉田マタロウ
玉田マタロウ
そうだ……努力して工夫して向かい合う……
そうだ。

ジンペイの言う通り、考えてみれば行動していたのは自分だった。血の滲むような努力を積み重ねたんだ。
このY学園に入りたいから。

あなたの言う通り、諦めずにあの言葉を心に強く刻んで、頑張ってきたからこそ今ここにいる。

妖怪HEROの活躍も間近で見れたし、頼もしい友達もたくさん出来た。近くで見ているだけで心があったかくなるような、大好きな女の子だってできた。

あれもこれも、全部自分の努力のおかげだ!

宇宙一のヒーローになるんじゃなかったのか!!
玉田マタロウ
玉田マタロウ
──乗り越えてみせるっ!!
寺刃ジンペイ
寺刃ジンペイ
そうだ!お前なら出来る!!
ジンペイの声援に鼓舞されて、マタロウはやる気を滾らせた。
玉田マタロウ
玉田マタロウ
やるぞおおおおっ!!
マタロウは力一杯叫ぶと、近くにあったコンクリートの塊を、とてつもない力を出して持ち上げた!

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