じいちゃんが死ぬなんてイヤだ。
いなくなるなんてイヤだ。
涙は絶えず流れ落ちる。
だけど、おじいちゃんはマタロウの手を離して、まるで未来を見るような目で遠くを見つめて言った。
そうだ……そうだよ!
あれから僕は、ずっとおじいちゃんのあの言葉を信じて、守ってきたじゃないか。
『努力して、工夫して、向かい合う』……
1日も忘れる事なく、その言葉の通りに、僕は今日まで生きてきたんだ!
怨念のタマゴに投げ飛ばされて痛む体に、力を込める。
大事な大事なその言葉を、心の中で読み上げる。
そんなマタロウの耳に、ジンペイの声が入ってきた。
ジンペイとあなたの言葉に、マタロウはハッとする。
そうだ。
ジンペイの言う通り、考えてみれば行動していたのは自分だった。血の滲むような努力を積み重ねたんだ。
このY学園に入りたいから。
あなたの言う通り、諦めずにあの言葉を心に強く刻んで、頑張ってきたからこそ今ここにいる。
妖怪HEROの活躍も間近で見れたし、頼もしい友達もたくさん出来た。近くで見ているだけで心があったかくなるような、大好きな女の子だってできた。
あれもこれも、全部自分の努力のおかげだ!
宇宙一のヒーローになるんじゃなかったのか!!
ジンペイの声援に鼓舞されて、マタロウはやる気を滾らせた。
マタロウは力一杯叫ぶと、近くにあったコンクリートの塊を、とてつもない力を出して持ち上げた!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。