第37話

「 そ の 先 も 」
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2020/05/21 11:30
そして、息をするように二週間が過ぎた。
時間って進むの早いな、と今更になって思う。
  
着いた!
私たちは今、あの彗星が落ちた公園に来た。
潮崎しおざき 明日菜あすな
来たは良いけど、どうやって帰るのかな‥‥
明日菜は、前よりも少しサバサバしている。
及川おいかわ 壮真そうま
また彗星が落ちてくるとか?
壮真は、短髪の男性みたいになりたいと言って毎日料理を手伝っていた。
晴田はるた 來春こはる
えっ、そんなことある?
私はというと‥‥‥うん、あまり変わってないかも。
  
あはは、ないない。あったらそれこそどこぞのアニメですかって感じ
  
妙にフラグ立てんのやめなよ
  
そもそもタイムスリップ自体がどこぞのアニメですかって感じだから
真顔の黒髪ロングの女性と苦笑する高身長の男性に向かって、ポニーテールの女性はあはは、と楽しそうに笑った。
  
んじゃまぁ、これでサヨナラ、ということで
彗星が落ちた公園のど真ん中に立たされた私たちは、これからどうすれば良いのか戸惑う。
それを見越したかのように、高身長の男性が身をかがめて優しく笑った。
  
目を閉じて、十秒数えて、そうしたら目を開けてごらん。目を開けたらきっと、君たちは君たちのいるべき場所にいる
あぁ、本当、その表情。変わらない・・・・・なぁ。
  
この二週間のこと、秘密だからね
その綺麗な笑顔も。
  
もう来たら駄目だかんなー!
その人当たりの良さも。
  
帰ったらただいまって笑ってあげてね。きっと、心臓が潰れるくらい心配してくれてるから
その無条件の優しさも。
  
それと!私たちはずっと君たちの味方だから安心なさい!
‥‥‥私は、分かんないや。でもきっと、変わらない。
晴田はるた 來春こはる
ねぇ
私はこっそり、ポニーテールの女性の服の裾を引っ張った。
ポニーテールの女性は不思議そうに首を傾げながら、私に耳を貸す。
私は高身長の男性を横目に、そっと囁く。
晴田はるた 來春こはる
初恋、応援してるね
するとポニーテールの女性は数秒間目を見開いて、それからくしゃり、とまた太陽のように笑う。
  
うん、頑張るね
晴田はるた 來春こはる
でも私、負けないよ
  
ふふ、うん。私も負けない
晴田はるた 來春こはる
元気でいるのも、負けない
  
うん。負けないよ
晴田はるた 來春こはる
‥‥‥ねぇ
  
うん?
晴田はるた 來春こはる
私、私が大好きだよ
するとまた、彼女は目をぱしぱしとさせて、それから眩しいくらいにはにかんだ。
  
あはは、ナルシストか!
うん。私も、私が大好きだよ。

言葉とは逆に、笑顔はそう言った。
きっとわざと言わなかった。
だってさ、言われたらきっと泣いてしまう。

女の涙は安くない、でしょ?
いつか、彼女が言ったことを覚えている。
  
‥‥‥さよなら
またね、とは言わない。
もう、私たちに未来に行ってしまうくらい辛いことなんてないから。
帰ったらきっと、幸せがいっぱい待ってる。
辛くたって、今までの暗い道よりは辛いはずがないんだ。

だって、そうでしょう?
潮崎しおざき 明日菜あすな
じゅう‥‥‥きゅう‥‥‥はち‥‥‥
ひとりじゃないし。
及川おいかわ 壮真そうま
なな‥‥‥ろく‥‥‥ご‥‥‥
まだやることいっぱいあるし。
晴田はるた 來春こはる
よん‥‥‥さん‥‥‥に‥‥‥いち
私たちより辛い人、心当たりあるし。





だからその先も、大丈夫。





















‥‥‥‥‥‥‥ぜろ。



















きっともう、勝手に諦めてなんかやらないから。

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