第39話

《 エ ピ ロ ー グ 》
152
2020/05/24 14:35
潮崎しおざき 明日菜あすな
ねぇ、本当にこっちで合ってる?
及川おいかわ 壮真そうま
合ってると思うんだけど‥‥‥
花波はなみ 永遠とわ
時間は?
及川おいかわ 壮真そうま
それも合ってる
壮真はそう言って、うーん、と唸る。

過去からやってくる三人組に会う──正確には誘拐に近いが──為にあの彗星が落ちた公園まで来たわけだが、さっきから一向に見付からない。

僕らがあの屋敷を出る前に、來春のおばあちゃんは町内会の旅行で二週間いなくなると聞いた。
しかも子供三人を連れ込むのは許可済みだったらしい。
……きっとそこで都合の良さを使い切ったんだ、と少し思った。
晴田はるた 來春こはる
日時も合ってるはずなんだけどなぁ‥‥
そして数分後、手分けをして探すか、という壮真の案によって僕らがばらばらになろうとしていた時だった。
晴田はるた 來春こはる
───────あっ!
來春が、驚き混じりに嬉しそうな声を上げたのだ。
及川おいかわ 壮真そうま
いた!?
晴田はるた 來春こはる
うん!いたよ!
その言葉に、僕らは遠くながらも目を合わせて笑った。

過去の皆は、どんなだろうか。きっと可愛いんだろうな。
僕はそうやって、期待を膨らます。
潮崎しおざき 明日菜あすな
行こう、とわ
過去の三人に手を差し出して、慰めて、励まして、また歩き出せるように背中を押すのは、きっと僕のすることじゃない。それは、大人の皆がする。
けれど僕は、その大人の皆と横に並んで、過去の皆に少しだけ元気を分けてあげることはできる。

行かなきゃ。そして、精一杯笑うんだ。
僕の幸せを、共有できるように。
花波はなみ 永遠とわ
……うん、行こう






























その日、僕は皆に告げた。






















『 だ い き ら い 』
































それは、僕らの運命を変えた、たった一つの言葉。








『 だ い す き 』

の、裏返し。
















 

今でも忘れない、12歳の春。










そして、24歳の春。
















過去と未来の僕らとつむいだ、奇跡の物語____。






        
        *.*◦end◦*.*


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