第4話

汗で濡れたカーディガン。_sου
1,848
2018/05/16 10:38
さっきまで暑かったのがまるで嘘のように、

自分の血がさぁっと引いていく。


嫌だ。


離れろ。


気持ち悪い。


頭がパニックに陥る。

(これって…痴漢じゃ……)

気づいた瞬間、再び冷たい汗が流れる。


怖い。


今すぐ、ここから逃げなければ。

必死に抜け出そうとするも、 

相手の力が強く、思うように動けない。


周囲に助けを求めようかにと考えるが、

男が痴漢されてるなんてことを

周囲に知らせる勇気なんて、

これっぽっちも持っていなくて。


男は、俺の背中につーっと指を滑らせる。

さすがにまずい。


必死に助けを求めようとしたが、

自分の恐怖心が邪魔をして声が出ない。


(あ…まって……いやだ……いやだ………!!!)

男は気味悪く、

蛇が地面を這うようにして

胸のあたりまで手をまわしてくる。


とっさに身構えようとするも、

男の子力と満員電車が邪魔をして

ほとんど身動きがとれない。


「……ひぁ…っ……!」

突然胸の先を弄られて、変な声が出る。

気持ち悪い。

意識が朦朧としてきた。


あぁ、もう、ダメだ。

反対側のドアが開く音がする。

男の手が腰先まで伸びてきていた、


その時だった。


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