第2話

優しさ【虎杖悠仁】
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2021/05/15 06:41

✳︎あなたさん1年ズと同級生



『ごめんね、虎杖くん!ちょっと遅れちゃった!』
「全然大丈夫〜‼︎俺も今来たとこ!」


今日は任務帰りにたまたま時間が空いたので、同級生の虎杖くんとお茶してから高専に戻ろうという話になった。

「あなた任務お疲れさま!」
『ありがとう、虎杖くんも任務あったんだよね?お疲れ様』
「おう!サンキュー!」

こんな感じで、虎杖くんはとても元気がいい。
そして凄くフレンドリー。
私が学校に転入して来た時も、一番最初に話しかけてくれたのは虎杖くんだった。


「よろしく!あなたっていうんだ〜‼︎俺虎杖悠仁!」

「慣れない環境だと大変だよな〜...俺も急にコッチ来たから気持ち分かる‼︎‼︎」


そんな感じで、話すことが少し苦手な私に、凄く優しく話しかけてくれたのを覚えている。

虎杖くんは明るくて、おひさまみたい。

........出来ればもう少し仲良くなりたい...なんていうのは、本人には恥ずかしくて絶対言えないけど。




「それでさぁ〜.....あなた?どうかした?」
『えっ?あ、ううんごめん何でもない!何?』
「お茶するとここことかどーかなと思って」
『わっ凄いキレイ』

そこにあったのは、見るからにオシャレな雰囲気を漂わせているカフェ。

「ここで大丈夫そ?」
『うん、すごい素敵!』
「良かった〜‼︎じゃあはい、どうぞ!」

虎杖くんが先に扉を押してくれて、私が店内に入るのを側で待っている。

『あ、ありがとう』




店員「いらっしゃいませ、2名様でいらっしゃいますね。こちらへどうぞ。」

店員さんに案内されたのは窓から緑が見える、奥のテーブル。
高校生がこんな洒落た場所来て良いのかな...。


「東京ってすげ建物高いよな〜」
『そうだね』

虎杖くんはパラパラとメニューをめくる。
私は、さっきの任務の報告書を書く。


「あなたどれ食べる?」
『えっと...どうしよう...虎杖くんはどれにする?』
「俺はこれかな〜」

虎杖くんが指差したのは、抹茶としらたま、小豆がのった和風のパフェだった。

『美味しそう...‼︎』
「これと悩んだんだけど...」

もう一つは、苺やオレンジ、生クリームがのっているパンケーキ。メニュー表には店内一番人気と書かれている。

『あ、じゃあ私それ頼もうかな...。虎杖くんに半分あげるよ』
「えっマジ⁉︎やった‼︎じゃあ俺のも半分あげる!」


ニコニコして話す虎杖くん。
この笑顔が見られるたび、本当に幸せな気持ちになる。


虎杖くんが注文をしてくれたので、デザートが来るまで少し話をしながら待った。






店員「お待たせ致しました」


しばらくすると、さっきの店員さんがデザートを運んできてくれた。

『美味しそう〜!』
「うおっすげーー!!」

運ばれてきたデザートを見て、子供みたいにはしゃぐ虎杖くんが可愛い。


「いただきます〜!」
『いただきます』



食べてみると、生クリームとフルーツが丁度良い甘さ加減で、くどくなくて凄く食べやすい。
パンケーキも柔らかくて美味しい。

「美味っ‼︎‼︎」
『美味しいね!...あ、虎杖くんパンケーキどうぞ』
「ありがとう!じゃ俺のもどーぞ!」
『ありがとう』

虎杖くんからもらったパフェは、抹茶本来の苦味と小豆の甘さのバランスが良くて、凄く美味しかった。

「ん、パンケーキもウマッ‼︎」
『パフェも美味しいよ〜』

誰かとこんな風にお茶したりすることが、こんなに楽しいとは思わなかった。
虎杖くんみたいに、ふしぐろくん?と、くぎ...さきさんともちゃんと喋れると良いな...。


「....あなたって、すげえ食べ方とか字とか綺麗だよね」
『へっ?』

不意にそんなことを言われたので、思わず変な声が出てしまった。

『そ、そうかな...』
「おお、さっきの報告書も丁寧だったから凄いなーって!」
『あり...がとう...』


ビックリした...。




















『虎杖くん、本当に良いの?』
「ヘーキヘーキ!全然大丈夫だって!」

結構高いパンケーキを注文してしまったのに、虎杖くんが私の分も払ってくれた。
申し訳ない...。
虎杖くんは、「俺が誘ったんだから」って言ってくれてたけど...。


『!』

まただ。虎杖くんは、歩いている時常に車道側を歩いてくれている。

さっきも、ドアを開けてくれたり、話題がなくならないように話しかけたりしてくれた。
気遣いなのか、無意識にやっていることなのかは分からないけれど...。


そういった優しさが、きっと周りの人を笑顔にしているんだろうな...


『.......虎杖くん』


「ん?」
『....今日は...ありがとう』
「!...おう!」




また行きたいな。

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