第107話
June bride
6月6日
恋人同士が永遠を誓い、"家族"になる、結婚
この日は、結婚すると良い門出を迎えられると言われている
June bride………6月の花嫁
本来なら、男である俺にこれは関係ない
だが…今の俺は違う
今日この日に結婚すると決めたのは、あいつとの、良い門出を迎えたかったからだ──。
─June bride 炭義編─
昨日、雨が降っていたなんて思わせないほどの晴天
心に宿した緊張と不安を、一気に倍増させる鐘の音
錆兎に優しく背中をさすられ、ようやく落ち着いた
白い扉が開く
開いた一瞬の隙から、大きな拍手が飛び交う
目の前にいる、俺が永遠を違う人
その人へ向けて、ゆっくり歩み寄っていく
未だ緊張がほぐれない俺に、優しく名前を呼びかけ、手を差し出した
その手を取ると、少し強い力で引かれ、俺は、炭治郎と一緒に歩き出した。
すると、もう1人の神父らしき男が、白いケースを持ってきた
"結婚指輪"だ
炭治郎がそれを手に取ると、俺の左手を軽くすくい上げ、丁寧にはめていく
俺も炭治郎を真似するように指輪をはめたあと、神父が落ち着いた声で俺たちに言った
炭治郎と目が合うと、ゆっくり一歩、俺に近づいて、にっこり笑いかけた
それにつられるかの様に口付けを交わし、会場には、大きな拍手があがった。
─June bride 錆義編─
1年前のこの日、俺と錆兎は、共に永遠を誓った
そう、今日は、俺と錆兎の"結婚記念日"だ
結婚して1年、"はじめて"のことを沢山してきた
どれだけ辛くても、錆兎となら、頑張れた
"家族になること"
簡単に聞こえて、すごく難しいこと
でも、何があっても愛し続けるという思いが消えない限り
愛する人と、ずっと一緒いられること
あの時錆兎が、勇気を出して言ってくれた言葉から始まった
忘れるわけがない
いつもより力強く、熱を帯びた瞳を、向けられた指輪を、鮮明に覚えている
珍しく照れてる錆兎の頬に、そっとキスを落とす
俺からもずっと、この幸せが続いていけるように
空に架かる飛行機雲、1年前と同じ願いを、また来年まで、届けて欲しい。
ずっと錆兎といれますように───。
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