第7話

開戦。
156
2019/01/01 14:24
氷雨は冬の区へと帰ってしまった。


















どうして?


どうして氷雨がこの国にいて、

どうして冬の区にいて、

どうして宣戦布告なんかしにきて、

どうして私たちのことを忘れていたの?





















どうして...






















霧雨 雪
霧雨 雪
ふざけんな!!
⁉せ、雪...?
霧雨 雪
霧雨 雪
本当に戦争する気かよ!
霧雨 雪
霧雨 雪
しかも、学園生徒が兵士って...
学園生徒が...?
ハル
ハル
当たり前よ。
ハル
ハル
私たちが戦わなきゃ、
春の区の皆が全員殺される。
...え?
ハル
ハル
ここはクラウディア。
あなたたちの国じゃない。
霧雨 雪
霧雨 雪
っ...!
ハル
ハル
他国を甘く見ない方がいい。
ハルは冷たくそう言って、部屋を出る為に
扉へと向かって行った。





















私には分かる。






















ハルは、本当は戦争なんてしたくない。

ただ、春の区を守る為に戦おうとしている。



















そして、雪や私に戦場に立って欲しくない。

だから、冷たくした。


冷たくすれば、もう、来ないと思ったからだと
思う。



















でもね、ハル。


私を甘く見ないで欲しいな。





















東雲 梅雨
東雲 梅雨
私、戦う...。
私がそう言うとハルは、扉に向かっていた足を
止めた。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
春の区を守りたい。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
氷雨のことも知らないまま、
氷雨に負けたくない。
ハル
ハル
でも...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
それにね、
東雲 梅雨
東雲 梅雨
ここは私の居場所なの。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
居場所を失うくらいなら
戦ってやる...!
私がそう、大きな声で言うと、ハルは
大粒の涙を見せた。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
わっ!ちょ、ハル...?
ハル
ハル
ありがとう...
ハル
ハル
ありがとう...!
ハルはそう言って、泣きながら笑った。

ははっ。ハルは可愛いな。
霧雨 雪
霧雨 雪
お、俺も...
ハル
ハル
...?
霧雨 雪
霧雨 雪
俺も戦う。
霧雨 雪
霧雨 雪
俺だって、ここは大切な居場所だ!
東雲 梅雨
東雲 梅雨
言うの遅いんだよ。バカやろ。
私はそう言って、「にやり」と笑った。
霧雨 雪
霧雨 雪
うっせ。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
あはは。
ハル
ハル
...死なないでよね。
ハル
ハル
絶対、帰ってくるんだよ?
ハル
ハル
居場所を無駄にしないでね?
ハル
ハル
約束だから。
ハルはか細い声で、そう言った。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
あったりまえだよ!
霧雨 雪
霧雨 雪
守らなかったら殺してくれ。
雪はそう言って、いたずらっぽく笑う。
ハル
ハル
任せとけ!!























あ...

皆、笑ってる...



















絶対に守るんだ。

春の区を、皆を、皆の笑顔を。


そして、生きて帰るんだから。

日本人、舐めるなよ...?




























さぁ。開戦だ。

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