ウェザー学園に編入して数日。
貴族が、制服の細長いリボンを私に投げつけた。
決闘...?
貴族はそう言って、醜い笑顔を見せる。
貴族って確か、強いんだよね?
ヤバくない?
でも...
私はそう言って、リボンを拾う。
このまま引き下がれば、安全なのかもしれない。
けど、平民をゴミみたいに扱ってる貴族から
引き下がるなんて、言語道断。
私はそう言って、不適の笑みを浮かべる。
前に、ハルから聞いた。
この国では貴族が強いけど、
この国の人よりも、人間の方が遥かに
強いということを。
戦争において言うんだったら、貴族は一騎当千。
人間は、一騎当万。
だから、負ける気がしない。
まぁ、貴族はそんなこと知らないみたいだけど。
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決闘当日...
雪はそう言って、私の頭に「ぽんっ」と手を置く。
この学園には決闘場があるんだけど...
観客席からの声がヤバい。
どうやら平民たちは、何も言えないみたい。
『間もなく、決闘を開始いたします。』
『それでは...』
『決闘、開始!!』
決闘開始直後、私は氷の腕に捕まれた。
私は、シノメを呼んだ。
眷族は普段、あの大きな本で眠っているそう。
主が眷族の名前を呼ぶと、そこに瞬間移動する
らしい。
主には、眷族の印が体に刻まれる。
だから、眷族を持っている人は“印”と呼ばれる。
私の場合、手の甲にライ、首筋にレイン、
左目にシノメ。
目というか、瞳。
瞳に印が付くのは珍しいそう。
そう。シノメとは昨日会った。
会ったというよりかは、呼んだという方が
いいかも。
実は、眷族を手に入れてから、こっそり
使いこなす練習をしていた。
シノメがそう言うと、氷が「じゅわぁ」と言って
溶けた。
シノメは気温を操る。
氷の周りだけ気温を上げたらしい。
貴族はそう言って、氷の刃を私に飛ばしてきた。
シノメはそう言って、氷の刃を溶かす。
...え?普通は3人じゃないの?
ま、まぁいいや。
私はそう言って、貴族を指差す。
レインはそう言って、貴族に雨を降らせる。
ライはそう言って、水溜まりに雷を落とす。
貴族は感電して、叫ぶ。
本当はね?直接雷落とそうと思ったんだよ?
でもね?それじゃ可哀想だからね?
水溜まりに雷落としたんだよ?
観客席が静まり返る。
パチパチパチパチパチパチ
な、何これ...
雪がそう言ったので、恐る恐る観客席を見上げる。
そこには、立ち上がって、精一杯拍手をしている
生徒たちが大勢いた。
雪はそう言って、「にかっ」と笑う。
素直に、嬉しい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。