第5話

決闘。
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2018/12/25 13:08
東雲 梅雨
東雲 梅雨
...え?
ウェザー学園に編入して数日。

貴族が、制服の細長いリボンを私に投げつけた。
クラスメイト
嘘だろ...
クラスメイト
貴族と...
クラスメイト
決闘...
決闘...?
貴族
あぁ!人間様には
分かりませんでしたか!
貴族
この国では、リボンを投げつけた
相手に決闘を申し込むことが
できるんだよ。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
え?じゃあ...
貴族
そうだ。
貴族
リボンを拾ったら、決闘を
受けることになる。
貴族
さぁ。どうする。
貴族はそう言って、醜い笑顔を見せる。


貴族って確か、強いんだよね?


ヤバくない?




















でも...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
受ける。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
その決闘、受けるよ。
私はそう言って、リボンを拾う。
クラスメイト
霧雨 雪
霧雨 雪
⁉お、おい...
このまま引き下がれば、安全なのかもしれない。

けど、平民をゴミみたいに扱ってる貴族から
引き下がるなんて、言語道断。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
泣いても知らないわよ?
私はそう言って、不適の笑みを浮かべる。

















前に、ハルから聞いた。

この国では貴族が強いけど、

















この国の人よりも、人間の方が遥かに
強いということを。


















戦争において言うんだったら、貴族は一騎当千。

人間は、一騎当万。





















だから、負ける気がしない。
貴族
強気を言ってられるのも
今のうちだな!
貴族
いまに、なぶり殺してやるよ。
まぁ、貴族はそんなこと知らないみたいだけど。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
いいよ。出来るならね。





















─────────────────────────────────





















決闘当日...







霧雨 雪
霧雨 雪
頑張れ。梅雨。
雪はそう言って、私の頭に「ぽんっ」と手を置く。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
言われなくても。
霧雨 雪
霧雨 雪
そうか。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
それにしても、ギャラ多くない?
霧雨 雪
霧雨 雪
あぁ。確かに。
この学園には決闘場があるんだけど...

観客席からの声がヤバい。
貴族
イェーイ!
貴族
人間をボコボコにしちゃえ!
貴族
しーね!しーね!
東雲 梅雨
東雲 梅雨
うわぁ...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
死ねとか言われてる。私。
霧雨 雪
霧雨 雪
あはは。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
笑わないでよぉ...
霧雨 雪
霧雨 雪
はいはい。
クラスメイト
...
どうやら平民たちは、何も言えないみたい。





















『間もなく、決闘を開始いたします。』



東雲 梅雨
東雲 梅雨
あ、始まる。
霧雨 雪
霧雨 雪
じゃあな。観客席で見てるよ。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
うん。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
勝ったら祝ってね。
霧雨 雪
霧雨 雪
準備しとく。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
ははっ。ありがと。



















『それでは...』




















『決闘、開始!!』






















東雲 梅雨
東雲 梅雨
決闘開始直後、私は氷の腕に捕まれた。
貴族
ははっ。ざまぁ見やがれ!
貴族
人間ごときが!
東雲 梅雨
東雲 梅雨
...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
シノメ。
私は、シノメを呼んだ。



眷族は普段、あの大きな本で眠っているそう。

主が眷族の名前を呼ぶと、そこに瞬間移動する
らしい。



主には、眷族の印が体に刻まれる。

だから、眷族を持っている人は“印”と呼ばれる。



私の場合、手の甲にライ、首筋にレイン、
左目にシノメ。

目というか、瞳。

瞳に印が付くのは珍しいそう。
シノメ
シノメ
お呼びになさるのを
待っていましたわ。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
昨日ぶり。
シノメ
シノメ
えぇ。昨日ぶりですわ。
そう。シノメとは昨日会った。

会ったというよりかは、呼んだという方が
いいかも。

実は、眷族を手に入れてから、こっそり
使いこなす練習をしていた。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
この氷、溶かして欲しいんだけど...
シノメ
シノメ
かしこまりましたわ。
シノメがそう言うと、氷が「じゅわぁ」と言って
溶けた。


シノメは気温を操る。

氷の周りだけ気温を上げたらしい。
貴族
な⁉
貴族
人間のくせに...
貴族
これはどうだ!
貴族はそう言って、氷の刃を私に飛ばしてきた。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
シノメ。
シノメ
シノメ
分かってますの。
シノメはそう言って、氷の刃を溶かす。
貴族
貴族
ま、まぁでも、攻撃までは
出来ないだろう!
貴族
なんせ、お前は人間なんだからな!
東雲 梅雨
東雲 梅雨
...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
レイン。
レイン
レイン
はぁーい。
貴族
貴族
眷族が2人も⁉
...え?普通は3人じゃないの?

ま、まぁいいや。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
あそこに水溜まり作って。
私はそう言って、貴族を指差す。
レイン
レイン
おーけーなのです。
レインはそう言って、貴族に雨を降らせる。
貴族
貴族
な、何だ⁉
レイン
レイン
あとで飴買ってね?
東雲 梅雨
東雲 梅雨
うん。ありがと。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
ライ。
ライ
ライ
へいへい。
貴族
さ、3人⁉
東雲 梅雨
東雲 梅雨
あの水溜まりに雷落として。
ライ
ライ
あとで休養くださいよ?
東雲 梅雨
東雲 梅雨
一週間ね。
ライ
ライ
充分だ。
ライはそう言って、水溜まりに雷を落とす。
貴族
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!
貴族は感電して、叫ぶ。


















本当はね?直接雷落とそうと思ったんだよ?

でもね?それじゃ可哀想だからね?

水溜まりに雷落としたんだよ?
貴族
...
東雲 梅雨
東雲 梅雨
あ...
シノメ
シノメ
気絶しましたわ。
ライ
ライ
え?俺、やりすぎた?
レイン
レイン
...多分、大丈夫。





















観客席が静まり返る。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
ヤ、ヤバいかも...




















パチパチパチパチパチパチ





















東雲 梅雨
東雲 梅雨
...え?
貴族
すげぇ!
貴族
ひゅー!
な、何これ...
霧雨 雪
霧雨 雪
皆、絶賛みたいだな。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
雪!
霧雨 雪
霧雨 雪
ほら、見ろよ。
雪がそう言ったので、恐る恐る観客席を見上げる。

















 



そこには、立ち上がって、精一杯拍手をしている
生徒たちが大勢いた。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
わぁ...
霧雨 雪
霧雨 雪
やったな。
雪はそう言って、「にかっ」と笑う。
東雲 梅雨
東雲 梅雨
うん!





















素直に、嬉しい。

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