tzuyu story
綺麗な瞳に射抜かれ
動けないでいると
「 大丈夫?」 と声をかけてくれる 彩瑛 .
意識が浮上して
別の場所へ行こうとすると
心地よい低音に呼び止められた
ふっと笑ったこの人
なんだろう
ちょっと視界が眩しく感じる .
私の質問が聞こえてないのか
言うだけ言って場を離れていく先輩
... なに?
無視した上に
自ら貸したハンカチの返却を求めるって ??
名前も知らないんだから
返しようがないに決まってる
結構 好印象だったのに .
苛立ちながら
どうにか意識を別のところにやって
自分の心臓の速さに気付かないふりをした .
そうでもしないと、なんか .
確かに、顔は綺麗かも .
先程の光景を思い浮かべながら
漠然と思った
すると 途端に早くなる鼓動 .
なぜか あらゆるものから
目を離したくなって
見られたくなくて
彩瑛 からも視線を逸らして俯いて応えた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!