tzuyu story
怒涛の入学式の日から 早 二日 .
この前 返せとせがまれた
ハンカチを返しに行こうと
上級生の階へと足を向けた
先輩の情報はいろんな子から入手済み .
「 2A 」 と書かれた看板で止まって
中を覗こうとするけど
なかなか覚悟が決まらない
少し扉の前で屯っていると
突然 両肩に手が乗せられた
振り返ってみると
微笑んでいる美しいひと .
入学式の日
倒れそうだった私を支えてくれた先輩だった
... このいい香りと 脳に響く甘い声
にこりと笑って
名前を褒めてくれる 紗夏先輩 .
話して間もないのに
もう心を許してしまうのは
きっと彼女の本質ゆえだろう
「 かわいいはこっちのセリフです 」
と返すまでには打ち解けられたことが
すごく嬉しい
内心 喜びの舞だ .
そう ひとり思って
本来の目的も忘れていると
언니 が思い出したように言った
私がその名を告げると
언니 が驚いたように目を見開いた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。