周りを見ると、男の人たちが、
ぱっと視線を逸らす。
(ほ、本当だ。
パーカーを着たほうがいいかも)
私はありがたく響先輩のパーカーを
着させてもらうことにした。
ほんと、響先輩って
パパっすよね
俺はあなたの保護者だからな
先輩が過保護になる気持ちは、
俺にもわかるっす!
あなた先輩って、
か弱い女の子って感じで、こう……
守りたくなるっていうか!
そうだな、これだけ可愛いと
不安でしょうがない。
変な虫がつきそうだしな
ここはある意味戦場っすね。
あなた先輩を狙った野獣が
うじゃうじゃいるっす
どこの馬の骨か知れないやつに、
うちの娘はやれない
ふたりとも、もうそこら辺で
勘弁してください。
恥ずかしいです
響まで、なにふざけてんの。
そろそろレジャーシート敷いた
ほうがいいんじゃない?
ああ、面目ない。
座るところがなくなる前に、
場所を確保しないとな
うん。いい加減、この炎天下で
立ってるのしんどくなってきたし
(あれ? 音波先輩、顔が赤い。
それに、ふらついてるような……?)
私は音波先輩の背に手を添えた。
な、なに?
熱中症なんじゃ……。
すぐに休んだ方がいいです!
うわ! 本当だ。
音波先輩、顔真っ赤じゃないっすか!
俺が運ぼう
響先輩が軽々と
音波先輩を抱き上げる。
──ちょっ、男にお姫様抱っこ
される趣味ないから!
暴れるな。ぶっ倒れるぞ
私っ、飲み物買ってきます!
(はやく水分補給してもらわなきゃ!)
急いで飲み物が売っている
海の家まで走る。
そこでスポーツドリンクを買って、
みんなを捜していると──。
あ、きみ、誰か捜してるの?
俺たちも手伝おうか?
え?
声をかけられて振り返ると、
水着姿の男の人が3人立っている。
それより、これから一緒に飲まない?
いや私、高校生なので……
そうなんだ。大人っぽいから、
勘違いしちゃってごめんねー
彼らの視線は、
私の胸に向けられていた。
(なに、この人たち……)
私はパーカーのファスナーを
首までしっかり上げる。
警戒しながら逃げる口実を
探していたとき、
ひとりが、私の肩を抱き寄せる。
きゃっ、離してくださ──
飲めなくてもいいから、
俺たちと話そうよ
(誰か助けて!)
悪いな、そいつは
俺が先に口説いてんだ
私の肩に触れていた手を
捻り上げたのは──。
勝手に触んな
(烈歌くん!)
嫌がってる女を無理やり、
どこへ連れて行く気だった?
私を庇うように、弦くんが立つ。
(弦くんまで!)
ふたりの姿を見た途端、
じわっと目に涙が滲んだ。
(ふたりとも、来てくれたんだ……)
男連れかよ
邪魔して悪かったな
吐き捨てるように言って、
男たちは逃げていく。
それを見届けると、
ふたりは私の両脇を固めるように
陣取って歩き出した。
ひとりでビーチを歩くな
声をかけたくなる気持ちは
わかるけどな
烈歌
茶化す烈歌くんを弦くんが睨む。
わかってるっつーの
それにお手上げだとばかりに
両手を上げた烈歌くんが、
私の頭をくしゃっと撫でた。
真面目な話、お前みたいに
いい女がひとりでいると、
ここじゃ危ないぞ
……!
(どこまで本気なのか、
わからないけど……)
ごめんなさい。
今度からは、誰かと行動するね
おう、そのほうが
俺らも安心だ
なにかあってからじゃ
遅いからな
うん、迎えにきてくれて
ありがとう
私たちはみんなのところに戻ると、
ライブが始まるのでステージに
行くことになった。
(みんな、頑張って!)
私はステージ袖で演奏を見守る。
──始めるぞ、『情熱ポーション』!
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