第10話

10話 誘惑サマータイム
周りを見ると、男の人たちが、
ぱっと視線を逸らす。
あなた

(ほ、本当だ。
パーカーを着たほうがいいかも)

私はありがたく響先輩のパーカーを
着させてもらうことにした。
真宙 弾
真宙 弾
ほんと、響先輩って
パパっすよね
吹賀谷 響
吹賀谷 響
俺はあなたの保護者だからな
真宙 弾
真宙 弾
先輩が過保護になる気持ちは、
俺にもわかるっす!
あなた先輩って、
か弱い女の子って感じで、こう……
守りたくなるっていうか!
吹賀谷 響
吹賀谷 響
そうだな、これだけ可愛いと
不安でしょうがない。
変な虫がつきそうだしな
真宙 弾
真宙 弾
ここはある意味戦場っすね。
あなた先輩を狙った野獣が
うじゃうじゃいるっす
吹賀谷 響
吹賀谷 響
どこの馬の骨か知れないやつに、
うちの娘はやれない
あなた

ふたりとも、もうそこら辺で
勘弁してください。
恥ずかしいです

奏 音波
奏 音波
響まで、なにふざけてんの。
そろそろレジャーシート敷いた
ほうがいいんじゃない?
吹賀谷 響
吹賀谷 響
ああ、面目ない。
座るところがなくなる前に、
場所を確保しないとな
奏 音波
奏 音波
うん。いい加減、この炎天下で
立ってるのしんどくなってきたし
あなた

(あれ? 音波先輩、顔が赤い。
それに、ふらついてるような……?)

私は音波先輩の背に手を添えた。
奏 音波
奏 音波
な、なに?
あなた

熱中症なんじゃ……。 
すぐに休んだ方がいいです!

真宙 弾
真宙 弾
うわ! 本当だ。
音波先輩、顔真っ赤じゃないっすか!
吹賀谷 響
吹賀谷 響
俺が運ぼう
響先輩が軽々と
音波先輩を抱き上げる。
奏 音波
奏 音波
──ちょっ、男にお姫様抱っこ
される趣味ないから!
吹賀谷 響
吹賀谷 響
暴れるな。ぶっ倒れるぞ
あなた

私っ、飲み物買ってきます!

あなた

(はやく水分補給してもらわなきゃ!)

急いで飲み物が売っている
海の家まで走る。


そこでスポーツドリンクを買って、
みんなを捜していると──。
男1
男1
あ、きみ、誰か捜してるの?
俺たちも手伝おうか?
あなた

え?

声をかけられて振り返ると、
水着姿の男の人が3人立っている。
男2
男2
それより、これから一緒に飲まない?
あなた

いや私、高校生なので……

男3
男3
そうなんだ。大人っぽいから、
勘違いしちゃってごめんねー
彼らの視線は、
私の胸に向けられていた。
あなた

(なに、この人たち……)

私はパーカーのファスナーを
首までしっかり上げる。

警戒しながら逃げる口実を
探していたとき、

ひとりが、私の肩を抱き寄せる。
あなた

きゃっ、離してくださ──

男1
男1
飲めなくてもいいから、
俺たちと話そうよ
あなた

(誰か助けて!)

???
???
悪いな、そいつは
俺が先に口説いてんだ
私の肩に触れていた手を
捻り上げたのは──。
轟 烈歌
轟 烈歌
勝手に触んな
あなた

(烈歌くん!)

鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
嫌がってる女を無理やり、
どこへ連れて行く気だった?
私を庇うように、弦くんが立つ。
あなた

(弦くんまで!)

ふたりの姿を見た途端、
じわっと目に涙が滲んだ。
あなた

(ふたりとも、来てくれたんだ……)

男2
男2
男連れかよ
男3
男3
邪魔して悪かったな
吐き捨てるように言って、
男たちは逃げていく。

それを見届けると、
ふたりは私の両脇を固めるように
陣取って歩き出した。
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
ひとりでビーチを歩くな
轟 烈歌
轟 烈歌
声をかけたくなる気持ちは
わかるけどな
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
烈歌
茶化す烈歌くんを弦くんが睨む。
轟 烈歌
轟 烈歌
わかってるっつーの
それにお手上げだとばかりに
両手を上げた烈歌くんが、
私の頭をくしゃっと撫でた。
轟 烈歌
轟 烈歌
真面目な話、お前みたいに
いい女がひとりでいると、
ここじゃ危ないぞ
あなた

……!

あなた

(どこまで本気なのか、
わからないけど……)

あなた

ごめんなさい。
今度からは、誰かと行動するね

轟 烈歌
轟 烈歌
おう、そのほうが
俺らも安心だ
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
なにかあってからじゃ
遅いからな
あなた

うん、迎えにきてくれて
ありがとう

私たちはみんなのところに戻ると、
ライブが始まるのでステージに
行くことになった。
あなた

(みんな、頑張って!)

私はステージ袖で演奏を見守る。
轟 烈歌
轟 烈歌
──始めるぞ、『情熱ポーション』!