第7話

7話 危険な独占欲
この日から私は、
夏休み前のテストに向けて勉強しつつ
詞を書くことになった。

全科目で95点以上をとる。
烈歌くんたちに最高の歌詞を書きたい。

どちらも手を抜けないから、
朝まで机に向かっていることが多かった。

そんな状態が数日続いたある日、
部活でみんなの練習を見ながら
詞を書いていると──。
あなた

……っ

くらっとして、
私は額を押さえた。
あなた

(最近、徹夜続きだったから……。
寝不足が祟ったのかも)

目を閉じて眩暈をやりすごしていると、
冷たい声が頭上から降ってくる。
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
お前、しばらく部室に来るな
椅子に座っていた私は、
重い身体を無理やり動かして、
ノロノロと顔を上げた。
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
目障りだ
あなた

(え──……)

絶句していると、
私の前に烈歌くんが立つ。
轟 烈歌
轟 烈歌
おい、弦。
その言い方はねえだろ。
あなたの入部は、
お前も承諾したじゃねえか
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
……はあ。お前は、
熱くなると周りが見えなくなる癖、
いい加減に直せ
轟 烈歌
轟 烈歌
は? 意味わかんねえ
眉を寄せる烈歌くんを見かねてか、
音波先輩が私に向かって顎をしゃくる。
奏 音波
奏 音波
この子が体調悪そうに
してるからでしょ
あなた

(あ、だから弦くんは
部室に来るなって言ったんだ。
それなのに私、傷ついたりして……
考えが足りなかった)

吹賀谷 響
吹賀谷 響
親から出された条件のせいか?
テストが終わるまで勉強に
集中してもいいんだぞ?
あなた

すみません、でも大丈夫です。
無理してでも、頑張りたいから

轟 烈歌
轟 烈歌
んだよ、弦は言葉が
足りなさすぎる
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
お前にだけは言われたくない
奏 音波
奏 音波
烈歌は思い立ったら
即行動派だから
真宙 弾
真宙 弾
と、とにかく!
あなた先輩は、今日は
帰って休んだ方がいいよな
轟 烈歌
轟 烈歌
俺が送る
あなた

ひとりで大丈夫だよ?

轟 烈歌
轟 烈歌
いいから
あなた

う、うん……

有無を言わさない烈歌くんに手を引かれて、
私は部室を出た。

***

──夕暮れの帰り道。

烈歌くんは、さっきから
ひと言も話さない。
あなた

烈歌くん、どうしたの?
さっきから、ずっと黙った
ままだけど……

轟 烈歌
轟 烈歌
弦はわかったのに、
俺はお前の体調が悪いことに
気づけなかっただろ?
あなた

う、うん

轟 烈歌
轟 烈歌
お前を見つけてスカウトしたのは
俺なのに、弦の方がお前のことちゃんと
見てるみたいで……ちょっとモヤってる
あなた

はは、なんだか
ヤキモチやいてるみたいに聞こえる

轟 烈歌
轟 烈歌
みたい、じゃなくてそうなんだよ。
お前のことは、俺がいちばん
わかってるって、そう思ってたからな
あなた

え……

あなた

(本当にヤキモチだったの!?)

驚いていると、
少しだけ目元を赤く染めた烈歌くんが
繋いでいた手を引っ張る。
あなた

きゃっ

体勢を崩した私は、
烈歌くんの胸にぶつかった。
轟 烈歌
轟 烈歌
これからは、もっとお前を見る。
俺がいちばんに、
お前のピンチに気づけるようにな
烈歌くんの前髪と吐息が首筋にかかる。
あなた

……っ、なんでそこまでして、
私のことを気にしてくれるの?

轟 烈歌
轟 烈歌
さあ、わかんねえ。
けど、俺は心に従ってるだけだ
そう言って、かぷっと
私の首筋に噛みついた烈歌くん。
あなた

ひゃっ、なにするの──

叫んだ途端、また眩暈に襲われて、
私は烈歌くんの腕の中でぐったりとした。
轟 烈歌
轟 烈歌
シたくなったから、シただけ
烈歌くんはべーっと舌を出した。
あなた

(烈歌くんの独占欲は……
かなり危険です)