第17話

17話 転校?
あなた

れ、烈歌くん

あなた

(さっきのキスを思い出しちゃう。
会うの気まずいよ……)

轟 烈歌
轟 烈歌
……ん? それ、歌詞か?
意識しまくりの私とは反対に、
少しも動じていない烈歌くん。

私が持っている作詞ノートを見て、
興味津々に近づいてきた。
轟 烈歌
轟 烈歌
どれ?
なんのためらいもなくベッドに腰かけて、
歌詞に目を走らせる。
あなた

(烈歌くんはさっきのキス、
なんとも思ってないの?
ドキドキしてるのは、私だけ?)

そう思うとモヤモヤしてくる。

ややあって、烈歌くんは
ノートから顔を上げた。
轟 烈歌
轟 烈歌
最高
あなた

……!

あなた

(褒められた! 
みんなのために書いた歌だから、
受け入れてもらえるかどうか
不安だったけど……杞憂だったみたい)

轟 烈歌
轟 烈歌
やべえ惚れた。
歌詞にも、お前にも
あなた

(ん? お前、にも……?)

耳を疑うような言葉に、
私は気を取られていた。

意味を考えている隙に
烈歌くんに手首を掴まれ、
ベッドの上に押し倒される。
あなた

なに!?

轟 烈歌
轟 烈歌
さっきのキスも、
出来心とかじゃねえから。
あなたに触れたいのは──
唇が耳元に寄せられ、
甘い囁きが落ちてくる。
轟 烈歌
轟 烈歌
あなたが好きだからだ
あなた

ま、また冗談を……

轟 烈歌
轟 烈歌
冗談にしたいのか?
俺はずっと、本能で
お前を求めてた
あなた

……っ

あなた

(ダメだ。烈歌くんがくれる
想いが熱すぎて、
頭の中が沸騰しそう)

轟 烈歌
轟 烈歌
ぜってえ、振り向かせる。
覚悟しろ
強気な笑みが私を見下ろしている。
あなた

(ドキドキして、息が苦しい。
烈歌くんはいつも突然で、直球で……。
私は焦ってばかりなのに、
烈歌くんは余裕そうでずるい)

轟 烈歌
轟 烈歌
歌詞、みんなに見せに行くぞ
烈歌くんは私の前髪を掻き上げ、
額に唇を押しつけてくる。
あなた

わ!

慌てて額を押さえると、
烈歌くんはくっと笑った。
轟 烈歌
轟 烈歌
行くぞ
***

防音室にみんなを集めて、
早速歌詞を見てもらうことになった。
真宙 弾
真宙 弾
あなた先輩、顔が赤いけど、
大丈夫か!?
あなた

う、うん

平静を装って返事をするも、
内心は焦っていた。
あなた

(大丈夫じゃないよ!
どうかもう、顔が赤い理由には
触れないで……)

奏 音波
奏 音波
僕の風邪、うつった?
あなた

そういうんじゃ、ないんです

奏 音波
奏 音波
……?
じゃあどういう意味?
あなた

うっ

あなた

(お願いだから
その話題から離れて!)

吹賀谷 響
吹賀谷 響
音波、お前は座ってろ。
まだ本調子じゃないだろう
絶妙なタイミングで響先輩が椅子を出し、
音波先輩を座らせる。
あなた

(ありがとうございます、響先輩~っ。
おかげで話を打ち切ることが
できました……)

轟 烈歌
轟 烈歌
あなたの歌詞、これなら
インパクトも出せるし、
弦の言ってた飾らないストレートさも
表現できる
みんなで作詞ノートを覗き込むと、
弦くんがひとつふたつ首を縦に振る。
鳴瀬 弦
鳴瀬 弦
そうだな。あと、
これはメンバーのことを
書いたのか?
あなた

あ、うん。みんなのメンバーを
支えたい、輝かせたい、みんなの音を
聞きたい、歌を届けたいって気持ちを
全部詰め込んだんだ

奏 音波
奏 音波
うん、言葉の端々から
伝わってくる。
これ、さっそく作曲する?
轟 烈歌
轟 烈歌
やろうぜ。俺たちの歌、
早く歌いたくて仕方ねえ
烈歌くんのひと言に、
私たちは強く大きく頷く。

当初の予定とは違って、
詞から楽曲制作を行うことになった。

***

──9月、新学期が始まった。

文化祭まで2週間、
私たちは練習に明け暮れていた。
お父さん
お父さん
あなた、話がある
朝食の席で、お父さんが
改まった様子でそう言った。
あなた

(なんだろう、急に)

お母さん
お母さん
この間、医者友達から
医大までエスカレーター式で行ける
高校があるって聞いたのよ
ドクンッと心臓が嫌な音を立てた。
あなた

(お母さんは、なんの話を
しようとしてるの?)

お父さん
お父さん
医者になる近道だ。
当然、編入試験は
厳しいものになるがな
お母さん
お母さん
でも、あなたの成績なら
十分でしょう
あなた

(それは……)

あなた

転校しろってこと?