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2018/08/24

第10話

第一章 信じたくて信じられなくて-7
嬉野疾斗
嬉野疾斗
レベル……きゅ、きゅうじゅうはち……? もうすぐ99……。課金した?
日廻つかさ
日廻つかさ
ううん。うち、そんなにお金ないし……課金の仕方も、正直よくわからなくて
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(じゃあスキル重視のガチ勢じゃん……)
嬉野疾斗
嬉野疾斗
すげえ。課金なしでここまでって、めちゃくちゃ強いんじゃん
思わず素直に感嘆してそう言い、ふとつかさの顔を見ると、顔が真っ赤になっていた。つかさとは反対に、疾斗の顔からは血の気が引いていく。
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(まずった……!?)
嬉野疾斗
嬉野疾斗
……ごめ、ん。何か、悪いこと言ったなら……
咄嗟に疾斗が謝ると、つかさは慌てて首と手を横に振った。
日廻つかさ
日廻つかさ
ううん、違うの! ありがとう! ゲームで強いって言われるの、すごくうれしい……っ。そんなこと、言われたことなかったから
傷つけたわけではないらしい。ホッとして、つい疾斗もうなずいた。
嬉野疾斗
嬉野疾斗
それは、わからなくもない
日廻つかさ
日廻つかさ
だよねっ! 嬉野くんは、もうカンストしてるの?
ほんわかした高嶺の花から『カンスト』なんて言葉が出てくるのが意外で、ちょっと面白い。笑いを堪え、疾斗もスマホを出してアプリを起動する。
嬉野疾斗
嬉野疾斗
いや、俺もレベル98で止まってる
疾斗がそう言うと、つかさは少し小首を傾げて恐る恐る口を開いた。
日廻つかさ
日廻つかさ
カンストするのってちょっとさみしくて、ためらっちゃわない……? これ以上レベル上がらないって思うと、さみしいし、経験値無駄になっちゃうし……私だけかな?
嬉野疾斗
嬉野疾斗
それも、わかる……
日廻つかさ
日廻つかさ
だ、だよね! よかった、私だけじゃなくて!
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(もしかしてこの人、めちゃくちゃゲーマーなんじゃ……?)
これは他にもゲームをやりこまないと出てこないセリフのような気がする。
思わずつかさを見ていると、つかさが大きな目で見つめ返してきた。
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(やべ……っ、こんなに見てたら、怪しい奴だよな……)
日廻つかさ
日廻つかさ
あの……嬉野くん
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(ほら来たよ……ごめんなさいすいませんでした)
つかさが何か言う前に、内心で謝り倒して心の準備をしておく。
日廻つかさ
日廻つかさ
よ、よかったら、一緒にやらない? マルチプレイ
嬉野疾斗
嬉野疾斗
…………………………えっ?
予想外の言葉に、脳の処理が遅れた。今、何て?
日廻つかさ
日廻つかさ
──あっ! 嫌じゃなければだけど!
嬉野疾斗
嬉野疾斗
別に、嫌じゃない、けど……
日廻つかさ
日廻つかさ
ホント!? よかった! じゃあ、ID教えてもらっていい?
決して、嫌ではないのだが──
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(だから何でっ!? 何で俺なんかと高嶺の花が!?)
その疑問で疾斗の頭はいっぱいになる。自分の今の状況がよくわからなくなってきた。
しかし顔には出さないよう、疾斗はつかさに『Lv99』のIDを教える。
嬉野疾斗
嬉野疾斗
(関わりたくない……はずなのに……)
教室とは違う彼女の笑顔を見ていると、どうしても断れなかった。
IDを教え合い、相手をフォロー。これでマルチプレイができるようになる。
日廻つかさ
日廻つかさ
この『ハヤト』だよね?
嬉野疾斗
嬉野疾斗
う、うん。そっちは……この『*ハナ*』? 何でハナ?
何気なく訊いただけだったのが、つかさはひどく恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせた。
日廻つかさ
日廻つかさ
その、私、チョコチョコ動画で音楽聴くのが好きで……れるりりさんって人の曲が好きでね、『脳漿炸裂ガール』っていう……
嬉野疾斗
嬉野疾斗
あ……その曲知ってる。中毒性高いやつ
日廻つかさ
日廻つかさ
ホント!?
疾斗の言葉に、つかさは目を輝かせた。その勢いに少し驚く。
嬉野疾斗
嬉野疾斗
……俺も、よくチョコ動で音楽聴くから
日廻つかさ
日廻つかさ
そうなんだ! その楽曲が小説になっててね、その主人公の名前なの。すごく強くて、かっこよくて可愛い女の子だから……オ、オタク、だよね、私……
嬉野疾斗
嬉野疾斗
別に、そんな恥ずかしい理由じゃないと思うけど……
というか、理由としてはメジャー。疾斗はただ何も思いつかなくて『ハヤト』にしただけ。今さら捻りがなくて面白くないなと思ってしまう。
つかさはうつむきがちだった顔を上げて、ホッとしたように笑った。
日廻つかさ
日廻つかさ
……ありがとう
周りにはゲームをする友人も、音楽の趣味が似た友人もいないのだろうか。
自分の好きなことを一緒に楽しむまでとはいかなくとも、それを認めてくれる人さえいないなら、毎日窮屈ではないのだろうか。