赤いレンガの家の前で
赤い長靴を履いていた君は
耳までも真っ赤に染めて
色のないまっさらな景色の中で
ただひたすらに僕を待っていた
そう言って頬を膨らませたトワは
すごく幼く見えて
愛おしかった
何より僕と会いたかったって聞けたことが
意外で
朝からドキドキさせられた
待ち合わせに遅れたてしまったが
こんな彼女が見れて
罪悪感すら
まっさら
になってしまった
少し浮かれてしまって
焦ってしまった
今日も彼女と公園へ行く
何かを辿るようにして2つの足跡は
寄り添うように長く
長く続いていた
こんな寒い日に外で散歩なんて
僕ら以外誰もいなかった
だから
余計そう思ったのだろう
黙々と歩く2人の存在をあやふやにしそうで
張り巡らされた自らの思考は
この時間を邪魔して
僕を陥れる罠のようでもあった
現の中の幻とはまさにこの事か
そう思った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!