トワと出会って2回目の夏祭り
今年も楽しみにして当日を迎えた。
少し茶化した僕を無視して
強引に僕の手を引っ張って
トワは無邪気に笑って僕を急かす
そんなトワは愛しくって
好きが溢れた
ちょうど僕らが着いた時
花火が打ち上げられた音が響いた。
心臓だけを射抜いていった
轟々と響き渡る低い重低音のような音は
夏の終わり
冷たい夜風がただひたすらに荒れ狂う
夜空の果てに
赤、青、緑、黄、と
多種多様な火の花を豪快に散りばめて
まるで全ての存在を消しきるほどの勢いで
瞳には収まりきらないほどどこまでも続き
隅々まで自由に
そう
まるで生きているのではないか
と疑うほど美しく
彩った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。