分厚い冊子の表紙には
『文芸部 入部審査』
と書いてあった。
次のページをめくると、文字数の指定など、詳しいことが書いてあった
冊子をさらっと読み進める。
私の目を止めたのは、作文のテーマについて書いてあるページだった。
そう
作文のテーマは
"自分と家族について"
だった。
私は真っ先に、双子の姉、美羽と私について書こうと考えた
『私の姉』
私の双子の姉は特別です。名前は有栖川美羽。
そう、あの有名ファッション誌の表紙を飾っているのは私の姉です。そんな姉は私の憧れの存在です。
ですが、楽しいことや、嬉しいことだけではありません。休日は姉の買い物の付き添いで持ちきりだし、少し街を歩くだけで姉の周りには人だかりができてしまいます。なので、私が自由に振る舞うことのできる学校は私にとって大切な場です。
今までは我慢の連続でしたが、中学校に入って、自分の夢を追いかけてみたい、そんな思いから、私は文芸部への入部を希望します。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!