第893話

☆白い紙♡
1,022
2020/07/29 23:14
テーブルに貼られた紙に、あなたがボールペンを走らせていく。




嘘つき↓と自分を矢印した。




懐かしいこの字。








中学生の頃の黒板に書かれた字を思い出してた。









『鬼ごっこしてるの』


『たいくつだから』


『彼だけを見つめて暮らしてるとおかしくなる』








高橋くん
高橋くん
結婚って、そんな?
あなた

・・・(大きめにうなずく)






『今はね、太輔が鬼』





高橋くん
高橋くん
まだ、結婚中?
あなた

・・・(うんうんとうなずく)

高橋くん
高橋くん
幸せなの?
あなた

・・・(うんうんとうなずく)




『なんで長崎?』


『遠いじゃん』


『なのに、なんで電気屋?』


「金指が、あなたがいるって教えてくれた」


『だから、来たの?』


「そーするしか、会えないよね?」


『ここに来てくれたら、会えるよ』


「電話は出来ないのか」


『もう、ダメなのかもね』


「なに?」


『あたし、高橋くんに会えたのに、身体が熱くならなかった』



高橋くん
高橋くん
え?
思わず、あなたの頬に手を伸ばしてしまった。





あなたはゆっくりそれを外した。










『キスしてみる?』
『思い出せるかな』
『あんな風に、ヒトを想うことないってくらい、好きだったのに』
『だんだん、忘れてしまうのね』
『高橋くんは、若い分、まだ』
『あと10歳くらい経つと楽になれるよ』




ぽたん、、、






そうあなたが書いた紙に、あなたの涙が落ちた。








高橋くん
高橋くん
あなた、、、もうすぐ、楽にしてやるから
あなた

・・・く・・・・ぃょ

高橋くん
高橋くん
なに?
あなた

・・・(顔を横に振った)






あなたはテーブルのこっちに来て、


むぎゅーーーーっとしてくれた。


あなたの髪から、オレの愛したオンナの匂いがした。









高橋くん
高橋くん
あなた、好き。今も変わらない。
高橋くん
高橋くん
一緒に長崎で暮らさない?
あなた

・・・(顔を横に振った)

高橋くん
高橋くん
オレは10年経っても忘れないから。
高橋くん
高橋くん
すぐ、薬作る。だから、安心して。
高橋くん
高橋くん
あなたの事、、、忘れるよ

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