第354話

もーとーさーやーカルボナーラ
1,824
2020/05/24 09:32
どんよりした気持ちのまま、帰宅した。





太輔に電話をした。









藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
電話のかけ方、知ってたんだ?
あなた

え?初めてか?

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
ふふ、うん
あなた

太輔と話すと、元気になるから。

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
ほんとー?今日ね、カルボナーラ作ってみたの。
あなた

え?冷凍とかじゃなくて?

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
オレ、ヤバいよ、、、あなたが知ってるオレは過去のオレ
あなた

なにそれ。変わらず愛してもらえるかな?

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
それは、大丈夫だよ
あなた

あたしも、カルボナーラ作ろう。そしたら、同じ物、食べれるね

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
ん、、、なんか、いいね、それ。
あなた

うん、、、生クリーム買いに行ってくる

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
え?今何時?明日にしたら?
あなた

大丈夫

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
ねぇ、、
あなた

ん?

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
、、、
あなた

ん?なに?

藤ヶ谷先生
藤ヶ谷先生
気をつけてね
あなた

うん








なにも考えてなかった。



現実逃避。












買い物を終えて帰宅したら、、、











高橋くんが居た。








あなた

どーしたの?

高橋くん
高橋くん
話があって来た
あなた

明日、学校ではダメかな?

あなた

これから、パスタ作りたいの

高橋くん
高橋くん
明日か、、、じゃ、また、、
あなた

まって。






去っていこうとする彼の横顔は、死に向かう人に見えた






高橋くん
高橋くん
なんだよ、振り回すな
彼はわたしの手を振り解いた。




よろっとして、転んだ。
トマトソースの瓶が割れて、そこらじゅうがトマトだらけになった、、、







あなた

ごめん、ズボンに、、、

高橋くん
高橋くん
ごめん、、、誰か殺したみたいになってる





わたしの薄いピンクのスカートは、真っ赤なトマトがどばっとついてた、、、







高橋くん
高橋くん
立てる?
あなた

あたしの事はいいから、、、死なないで。

高橋くん
高橋くん
死なないで?オレ?
高橋くん
高橋くん
死なねーよ、7年先にお前幸せにしなきゃいけねんだよ
高橋くん
高橋くん
7年しかねーんだよ?
高橋くん
高橋くん
グズグズしてられないんだよ





わたしは左手を切ってた。



わかりにくいけど、、、地味にトマトが染みてきて。




結局、高橋くんが手当てをしてくれることになった。










あなた

お医者さまになって

高橋くん
高橋くん
オレ?
あなた

うん、あたし、あんまり長く生きられない気がするの。

高橋くん
高橋くん
ダメだよ、オレの事、幸せにしなきゃ、お前。
あなた

近くでみててほしいの

高橋くん
高橋くん
医者か、、、母ちゃんは医者は反対するだろうな
あなた

そっか、、、じゃ、、何になる?

高橋くん
高橋くん
お前の旦那さん
高橋くん
高橋くん
あなたが望むなら、医者になるよ?
あなた

なって欲しいわけじゃない、、、前を向いて進んで欲しい

高橋くん
高橋くん
あなたが離れていくから、、、前がわからなくなる





そう言って、彼はわたしを抱きしめた。







プリ小説オーディオドラマ