及川観察日記
そう自分の字で書かれたノートを開いて, 及川の行動を思い出す。
11 / XX / X / 13:09 / 昼休み
1, 2, 3, 4 時間目と寝てたけど,
昼ご飯の時間になったら学校の中庭に走っていった。
ちゃんとお弁当を持って, 全速力で。
そこまで追いかけて…とかはないけど,
クラス内とはまた違う及川が見れるのでは。
と, ちょっと期待したり。
思いつく言葉を, 昼食のサンドイッチを頬張りながら利き手で書き表す。
さすがに昼ごはんを食べている様子は見に行けないが, ( 見に行ったらちょっと気持ち悪い気がする )
見れる範囲で日記を付けていくのが基本ではないか, と思う。
人の日記つけるのは基本は有り得ないけれども。
?「 だ〜れだ。 」
『 わっ, ! ? 』
そう言って両目を塞いで来たのは,
この微妙な大きさからして…
『 “ 国見 “ くん? どうして三年の教室に居るの? 』
国見「 いや, 見つけたんで。 」
『 なにそれ, w 』
少し話を聞くと, 国見くんは及川を探しているみたい。
『 及川なら, 岩泉くん達と屋上で ご飯食べてるよ〜 』
国見「 …ありがとうございます, 」
『 ?? どうかした? 』
国見「 いや, そのノート… 」
“ ノート “ という単語を聞いてこんなに体が跳ねたのは初めてだ。
まるで悪いことを見られた時の ギクッ!って効果音が付いてしまうほどに。
実際悪いことをしていたんだろうが。
『 い, いやあ, それは…そのぉ…… 』
国見「 及川観察日記…ふーん, へーぇ, 」
『 うぐぅ……っ, 』
ニヤニヤする国見を睨みながらノートを少し隠す。
その動作を察したのか, 国見はノートを隙を狙って奪い取った。
『 ぁ, ちょ, 国見くんっ、! 』
国見「 1, 2, 3, 4 時間目と寝ていたけど, … 」
『 わー, わー, わー, わー, ! 』
国見「 ふふはっ, w 」
クラスの皆に聞こえるのが恥ずかしくて, 焦るように声を上げると 国見は弾けるように笑った。
国見「 ごめんなさい, w 先輩が可愛くてw 」
『 むむっ, だからって先輩を揶揄うでない! 』
国見「 すみません, …w 」
( 反省しろ国見くん!!!! )
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。