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第3話

先輩とクレープ
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2018/07/29 00:33



有岡くんと別れ、先輩と駅に向かう。




峰岡先輩
どう?学校。  まだ分かんないか笑


­­
あなた

いえ…。すごく優しくしてくれて安心しました。



­­
峰岡先輩
あ。敬語抜いてくれて良いよ?
なんなら、呼び捨てでもいいし。


­­
あなた

え!?い、いやいや!そんなこと…。



恐れ多いよ。




でも、初日にしてそんなこと言ってくれるのは嬉しいなぁ、なんて思ったり。


峰岡先輩
大貴なんて、舞香って呼んでるでしょ?


でもそれは、おそらく昔からの付き合いだからじゃ…?
峰岡先輩
まあ、昔からの付き合いだからけどね。


­ほら…、笑
峰岡先輩
あ。じゃあ、今からクレープ行こ。ね?


え!?



い、いきなりクレープ!?




待って待って…。




混乱なう…笑





しかも、じゃあって何?




それなら、的な意味でしょ?




どこがどうなったら、敬語抜く→クレープ食べる、になるの!?



峰岡先輩
イエス?オッケー?

­­
あなた

や。それ、断る選択ないけん笑



言いながらはっとした。





し、しまった…。方言が……!!


峰岡先輩
……博多、弁?

­­
あなた

い、いえ……山口です…。




これだけはバレたくなかった…。





山口って誰も知らないだろうし…、




それに田舎者…って…、




最悪だ…っ!!



峰岡先輩
山口…。え、でもめっちゃ可愛い!


­­
あなた

え?



予想外の反応に目を丸くする。





舞香先輩は、目をキラキラさせていた。




え、えぇ!?



せ、先輩…いったい、どこまで優しいの?



峰岡先輩
いいじゃん!使……あっ、ごめん。
使えたら使ってほしいな。



一瞬、首を傾げそうになったけど、先輩はどうやら察してくれたらしい。





山口出身を知られたくないことを。






やっぱり、本当に尊敬する。





その優しさを私なりに無駄にしないよう、ありがとうございますと言って、おすすめのクレープ屋を教えた。





☆☆



峰岡先輩
ん〜!!!うっま!!


私達が頼んだのは、このお店の人気クレープだ。



­ほろ苦いガトーショコラとチョコソースで、チョコ好きにはたまらない。


アーモンドがアクセントになり、さらに香ばしくなる。





峰岡先輩
ここいいね!お気に入りの店に登録だ〜。


­­
あなた

そう言ってもらえて嬉しいです。笑



­­
峰岡先輩
…あなたちゃんってお兄さんとかいる?


­­
あなた

ああ、お兄ちゃんが1人。



­­
峰岡先輩
やっぱり!なんか、お兄さんとかお姉さんに守られてきた妹って感じがしたの。笑




…ん?それ、軽くディスってる??






何も出来ない人、的な感じに…。




いや、それはないよね。





うん。



峰岡先輩
あっ、クリームついてる。


そう言って、先輩は私の鼻目掛けて腕を伸ばした。






うぅ…お恥ずかしい…。






小さく唸り、先輩を上目遣いに見上げる。





あなた

あれ、先輩も付いてますよ?笑



­­
峰岡先輩
うそ!?え、どこ?取って取って!


なんだか可笑しくて、くすくす笑いながら先輩の唇横に付いたクリームを拭った。




峰岡先輩
ありがと〜。
峰岡先輩
ところでさ、あなたちゃんって家どの辺?


­­
あなた

えっと…渋谷駅近くのマンションです。



マンション名もついでに言った。



すると、先輩はマジ?とでも言うような表情になった。

峰岡先輩
一緒じゃん!
ならさ、これから一緒に行かない?


­­
あなた

行きたい!!




あ…。



ま、まーたやっちゃったよぉ〜。





すいません、と俯く。




今度こそ本当に嫌われた。




いや、そもそも気を使って一緒に帰ってくれてるだけか。




もともと好かれても……ははっ…。





今すぐ叫びながら走りたい気持ちを抑えて、クレープを1口食べた。


峰岡先輩
……ふふっ。あなたちゃんって、本当に面白いね。



ほら、また先輩に気を使ってそんな事言わせた…。
あなた

ありがとうございます、…。



­­
峰岡先輩
…私、気使ってるように見える?


­­
あなた

え?



­­
峰岡先輩
私ね、本当にあなたちゃんの事好きだよ?
あ、恋愛感情とかそういうのじゃなくてさ。笑


そのまま、先輩は言葉を続けた。


峰岡先輩
凄い丁寧なとことか、可愛いとことか。


­­
峰岡先輩
まだ会って間もないけど、なんか…あなたちゃんなら先輩後輩関係なく過ごせるんじゃないかって。

­­
峰岡先輩
ごめんね、勝手な妄想に付き合わせて。
気使うのはこっちの方だよ〜。




苦笑いを浮かべた。





私だって、こんなに先輩と仲良くできるなんて思ってなかったし…




はっきり、こういう関係になるのって、私の理想でもあって…。




女同士の恋愛、じゃなくて、




先輩後輩関係なく、親友としてじゃれ合うの。



あなた

あ、謝らないで…よ。
私だって正直、理想…だった、から、さ?




先輩はじっと見つめた。





そして、何かが吹っ切れたように突然笑いだした。


峰岡先輩
敬語抜いてくれて嬉しいけど、それは…。笑笑


­­
あなた

や、あの。何気に緊張するんですからね!?



せっかく頑張ったのに〜…。


峰岡先輩
ごめんごめん笑



はい、反省の色全く無しだー。





あなた

……ばーか。笑



­­
峰岡先輩
!?え、めっちゃ可愛い!!
何今の。え、動画撮るからもっかい!



­­
あなた

え、嫌です。笑

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