4月、出会いの季節。私は期待に胸を躍らせながら新しいクラスへと入って行った。
顔馴染みの人、もちろん初めて見る顔もいた。
席は出席番号順になっていた為、黒板に貼ってある座席表を見てから窓側の、前から2番目の席に着く。
鞄を机の横に掛け、担任が来るまで頬杖を付きながらクラスの様子を眺めていた。
すると…
隣から声が掛かりそちらを振り向くと不良の代名詞と言わんばかりの赤髪長髪の男が私を睨み付けていた。
私はこのような男子には耐性がなかった為驚き変な声を上げてしまった。
ソコ、オレノセキ…?
一瞬何のことだか分からなかったが、再度黒板の座席表を確認すると私の席は一つ後ろだった。
慌てて立ち上がって鞄を持ち、一つ後ろの席に移動して座る。
その赤髪不良少年はドカっと前の席に座ったと思ったら、すぐに後ろを振り向いた。
そう言うと勇也くんはニカっと笑って白い歯を見せて笑った。
なんだ…意外といい人かも。
高2の春、私の恋はここから始まるかもしれない。
-Fin-
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。