望葵side
永瀬が屋上から出て行ったらなんだか急に寂しくなった...
知らないうちに目頭が熱くなって気がついたら涙が出ていた
忘れられない...。いや、忘れちゃいけない、辛い過去。
私は無意識に自分の心臓の辺りを㌧㌧っとたたいていた。
「莉子...元気にしてますか...?」
心臓の辺りををたたくと莉子の声が聞こえるんだ。
私はワイシャツの胸ポケットから1枚の写真を出す。
その中には笑顔でピースしている莉子と私。
この写真を撮った時、「こんな幸せな時がずっと続けばいいな」と思っていた。
なのに......
神様はいじわるだ。
莉子...。
会いたいよ...
...
私は我に返った。
さっき出て行ったばっかの永瀬がたっていた
私が泣いていることに少し驚いてる永瀬。
でも、私が泣いてる理由は聞かない。
永瀬って本当は優しいんだね。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!