紗奈side
3年前入学式の日の事覚えてる?
クラス表を見る為に人混みに入ったけど
人の波に押されて倒れて尻もちをついた私を。
前髪なんか目にかかるくらい長くてスカートも
長い私のことなんか誰も気にしなかったのに
貴方はね。
私に手を差し伸べてくれたんだよ。
黒尾:「大丈夫ですか?」
優しくて。
私は
____生まれて初めて恋をした。
その日から髪を切った
髪を染めた
化粧をしてみた
みんな私を見てくれた。
匂いにも気を使って香水をつけてみた
スカートも短くしてみた
どんどん可愛くなって
告白もされた。
でも私が付き合いたいと思うのは黒尾くん
貴方だけなの。
そんなこんなで3年生になってしまった
まだ自信はもてなくて
告白は出来ずにいた。
そんなある日友達から聞いた話
『黒尾くん1年の子と
付き合い始めたらしいよ』
目が熱くなって。
視界が歪んできて
涙が溢れた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!