「おかえり,銀」
「ただいまっス!」
「例の"モノ"を,姫に。」
「はい。」
「姫。」
『あら,銀さん』
「ただいま戻りました。」
『ありがとうございます。お疲れ様でしたなぁ』
「い,いえ…//」
「「銀…」」
「ギクッ…」
『ツム兄,サム兄,そんな怖い目向けんなや』
「はぁい」
「分かったぁ」
「あ,これです」
『……クスッ。これが"アイツら"の…』
・
・
・
「澤村さん!菅原さん!」
「ツッキー…腕が捥げる…」
「おかえり,月島」
「マズいです…」
「何だ?」
「"青葉城西"のプログラムを…盗まれました…。」
「何…⁉︎」
「青葉城西って…月島達に預けてたデータのヤツだよな…?」
「はい…。ただ,プログラムだけしか入ってないUSBなので…」
「それなら,まぁ少しは安心だな」
「別の重要資料のUSBは誰が持ってるんだ?」
「さぁ…山口に預けてました。」
「山口,持ってるか?」
「いえ,日向に渡しました」
「日向ー!」
「はーい!」
「山口に貰った青葉城西のUSB持ってるか?」
「え,影山に渡しましたけど…?」
「影山ー!」
「菅原さん…何か?」
「日向に貰ったUSB持ってる?」
「え,これスか?」
「そう!これ!サンキュー!」
「っス。」
「大地〜あったぜ!」
「良かった…」
「すみません,澤村さん」
「?」
「自分のせいでデータ取られて…」
「気にするな!」
「そうだべ!そんなに大事なモンでも無いんだからよ!」
「…はい。」
『流石銀さんや…。盗みが上手い…』
「ありがとうございます!」
『クスッ。北さん!』
「何や?」
『どうします?目的はもう終わりましたし…解散にしますか?』
「そうやな。」
「侑,治」
「「はぁい!」」
「稲荷崎!」
「解散!」
「あれ…解散になっちまった」
「どうする,大地?」
「…俺達も撤退だ!」
・
・
・
その頃…
「ゴラ!及川‼︎」
「もー,うるさいなぁ岩ちゃん」
「お前はこの事態に何とも思わねぇのかよ⁉︎」
「だって構成員のファイルデータが奪われただけでしょ?しかも烏野に。烏野なら俺達に仕掛けて来るような事もない!」
「あ,コイツ何も聞いてねぇ」
「ん?」
「そのデータ,一部が稲荷崎に奪われたんだとよ」
「げ,稲荷崎…」
「まぁそのデータは奪われたとしても,重要な事は書いてないらしいがな」
「ふーん。………ねぇ岩ちゃん」
「何だ?」
「稲荷崎ってさ,あの"お姫様"がいる所だよね」
「あ?姫?」
「…」
「?………あぁ,宮ツインズの妹。」
「そ。」
「あのお姫様は,絶対手に入れたいんだよね。」
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・
・
『はぁー,疲れたぁー!』
「お疲れ,あなた」
「風呂入るんか?」
『うん。ゆっくり浸かってくるよ』
「ほな俺らは北さんの所行ってくるわ。」
「またなー」
『うん』
ホンマに疲れたなぁ…。
『青葉城西…。』
烏野の近くにあるマフィアで,烏野とも対立した事があるという…
そして,その青葉城西のボス「及川徹」。
組自体はそこまで勢力はないらしいけど
そのボスが物凄く頭が切れるらしい。
その切れさ故に,そのボスは数々の女達をオトしてきた。
『…女…か。』
女達が勝手に引っかかるのは知らない。
ただ,そうじゃない人達までに被害を加える…
『……及川,徹…なぁ。』
「俺の名前何で呼んでんの?」
『……………え…?』
「どーもー。及川徹でーす」
・
・
・
「……よし,それじゃあ今日は解散や。」
バンッ!
「失礼します‼︎」
「どうした?」
「緊急事態です!青葉城西が潜入してきました‼︎」
「何?」
「ただ…その潜入してきた中に,幹部の岩泉,花巻,松川がいるのですが…ボスである及川徹がいないんです!」
「は?どこにおるっていうんや?」
「自分のビルにおるんか?」
「いや,俺達に仕掛けて来るのにボス無しは無いやろ?」
「確かに。」
「ほな…何でや…?」
「………待って下さい」
「どないしたんや,サム?」
「確か及川って,女の子達を手玉に取る奴…ですよね?」
「確か,そうやったけど…」
「て事は…そのボスは姿を見せてないだけで…」
「ハッ!」
「まさか…」
「マズい…あなたが危ない‼︎」
・
・
・
『!』
「お風呂中にごめんね〜」
『ツム兄___』
「おっと。声は出さないでね」
『っ…』
「やっと会えた。ずっと君に会いたかったんだ,"お姫様"。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!