第29話

その3
691
2020/10/12 10:11
「おかえり,銀」

「ただいまっス!」

「例の"モノ"を,姫に。」

「はい。」



「姫。」

『あら,銀さん』

「ただいま戻りました。」

『ありがとうございます。お疲れ様でしたなぁ』

「い,いえ…//」


「「銀…」」


「ギクッ…」

『ツム兄,サム兄,そんな怖い目向けんなや』

「はぁい」

「分かったぁ」

「あ,これです」

『……クスッ。これが"アイツら"の…』














「澤村さん!菅原さん!」

「ツッキー…腕が捥げる…」




「おかえり,月島」

「マズいです…」

「何だ?」




「"青葉城西"のプログラムを…盗まれました…。」

「何…⁉︎」

「青葉城西って…月島達に預けてたデータのヤツだよな…?」

「はい…。ただ,プログラムだけしか入ってないUSBなので…」

「それなら,まぁ少しは安心だな」

「別の重要資料のUSBは誰が持ってるんだ?」

「さぁ…山口に預けてました。」

「山口,持ってるか?」

「いえ,日向に渡しました」

「日向ー!」



「はーい!」

「山口に貰った青葉城西のUSB持ってるか?」

「え,影山に渡しましたけど…?」



「影山ー!」

「菅原さん…何か?」

「日向に貰ったUSB持ってる?」

「え,これスか?」

「そう!これ!サンキュー!」

「っス。」






「大地〜あったぜ!」

「良かった…」

「すみません,澤村さん」

「?」

「自分のせいでデータ取られて…」

「気にするな!」

「そうだべ!そんなに大事なモンでも無いんだからよ!」

「…はい。」







『流石銀さんや…。盗みが上手い…』

「ありがとうございます!」

『クスッ。北さん!』



「何や?」

『どうします?目的はもう終わりましたし…解散にしますか?』

「そうやな。」




「侑,治」

「「はぁい!」」





「稲荷崎!」

「解散!」







「あれ…解散になっちまった」

「どうする,大地?」

「…俺達も撤退だ!」













その頃…





「ゴラ!及川‼︎」





「もー,うるさいなぁ岩ちゃん」

「お前はこの事態に何とも思わねぇのかよ⁉︎」

「だって構成員のファイルデータが奪われただけでしょ?しかも烏野に。烏野なら俺達に仕掛けて来るような事もない!」

「あ,コイツ何も聞いてねぇ」

「ん?」

「そのデータ,一部が稲荷崎に奪われたんだとよ」

「げ,稲荷崎…」

「まぁそのデータは奪われたとしても,重要な事は書いてないらしいがな」

「ふーん。………ねぇ岩ちゃん」

「何だ?」

「稲荷崎ってさ,あの"お姫様"がいる所だよね」

「あ?姫?」

「…」

「?………あぁ,宮ツインズの妹。」

「そ。」








「あのお姫様は,絶対手に入れたいんだよね。」









『はぁー,疲れたぁー!』

「お疲れ,あなた」

「風呂入るんか?」

『うん。ゆっくり浸かってくるよ』

「ほな俺らは北さんの所行ってくるわ。」

「またなー」

『うん』





ホンマに疲れたなぁ…。




『青葉城西…。』




烏野の近くにあるマフィアで,烏野とも対立した事があるという…

そして,その青葉城西のボス「及川徹」。

組自体はそこまで勢力はないらしいけど

そのボスが物凄く頭が切れるらしい。

その切れさ故に,そのボスは数々の女達をオトしてきた。



『…女…か。』



女達が勝手に引っかかるのは知らない。

ただ,そうじゃない人達までに被害を加える…



『……及川,徹…なぁ。』















「俺の名前何で呼んでんの?」










『……………え…?』

「どーもー。及川徹でーす」











「……よし,それじゃあ今日は解散や。」





バンッ!





「失礼します‼︎」





「どうした?」

「緊急事態です!青葉城西が潜入してきました‼︎」

「何?」

「ただ…その潜入してきた中に,幹部の岩泉,花巻,松川がいるのですが…ボスである及川徹がいないんです!」

「は?どこにおるっていうんや?」

「自分のビルにおるんか?」

「いや,俺達に仕掛けて来るのにボス無しは無いやろ?」

「確かに。」

「ほな…何でや…?」

「………待って下さい」

「どないしたんや,サム?」

「確か及川って,女の子達を手玉に取る奴…ですよね?」

「確か,そうやったけど…」

「て事は…そのボスは姿を見せてないだけで…」

「ハッ!」

「まさか…」



「マズい…あなたが危ない‼︎」











『!』

「お風呂中にごめんね〜」

『ツム兄___』

「おっと。声は出さないでね」

『っ…』





「やっと会えた。ずっと君に会いたかったんだ,"お姫様"。」






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