ピーっ!
「試合終了!」
3セット目,勝者は_
菅原&道宮&日向 宮兄妹
25 27
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「惜しかったね〜」
「そうだな」
「…」
「日向」
「!」
「"負けた"って思ってんべ?」
「…はい」
「でもそれ,日向のせいか?」
「…俺のせいでもあるし,誰のせいでもない」
「悪い結果の時,まずは自分を責める。」
「ッ…」
「でもそれは良い事だと俺は思う」
「え…」
「だって,人のせいにしてないじゃん。でも,自分を責めると誰かが慰めてくれる,それは違うと思うし,俺も慰めてない。日向だってそんな事考えてないだろ?」
「もちろんです!」
「だから心配しない!これから日向は更に更に上へ昇って行くんだと思う。こんなんで止まってちゃダメだべ!」
「はい!」
「菅原,日向くん!挨拶!」
「はーい!」
「はい!」
「「『ありがとうございました!』」」
・
・
・
「偉い思い詰めた顔やな」
『!』
「お疲れ,あなたちゃん」
『お疲れ様です。_北さん』
私の所に,スポーツドリンクを届けてくれたのは
北さんだった。
「手応えはあったか?」
『…ありました。』
「勝てるかもって思って,双子を信用して勝ったんか?」
『…はい。でも今回は…』
「…」
『感情任せやったと思います』
「…そうやな」
『…次,北さん達のチームですよね。頑張ってください』
「…」
少し,涙ぐむように見えた。
流石に,泣いてる女の子を見過ごすような事はしたない。
「あなたちゃん」
『…は,い?』
「あの双子にも言われたやろ?"泣いてえぇ"って」
『!』
「俺は侑達ぐらいのあなたちゃんに対する信頼はない。けど,俺のところでも泣いてえぇんやで」
『北,さん…』
「ほれ,おいで。」
今まで聞いた事がないぐらい,暖かい声だった。
私は駄目な人間なのかもしれない。
北さんにまで迷惑かけて…
すみません
「…」
『ッ~…大丈,夫です』
「泣きながら"大丈夫です"って言う女の子は大丈夫とちゃうよ」
『!』
私が躊躇していると,北さんは寄ってきて…
「ほら,な」
ギュッ
『ッ…グスッ』
強く,優しく,抱き締めてくれた。
ツム兄達とは違う安心感に気が揺らいで
北さんが届けてくれたスポーツドリンクが手から落ちてしまった。
本当はこんな所誰かに見られたら,誤解される…
でも,離れようと思わなかった。
「あなたちゃんは,俺が会ってきたどの女の子よりもえぇ子や。美人さんで,優しくて,双子の面倒も良ぉ見て,頑張り屋さんで…でも,あなたちゃんは頑張り過ぎや」
『はッ,い…』
「たまには,誰かを頼ってみ?俺はいつでも待っとるよ」
『はい…はいっ!』
「えぇ返事や。」
「誰かに見られたら,稲荷崎の歴史になるぐらいやで,全く…北のアホ」
↑陰でひっそり様子を見ていた,アラン君。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。