第19話

試合終了
991
2020/07/19 10:29
ピーっ!



「試合終了!」



3セット目,勝者は_



菅原&道宮&日向  宮兄妹
      
      25 27












「惜しかったね〜」

「そうだな」



「…」



「日向」

「!」

「"負けた"って思ってんべ?」

「…はい」

「でもそれ,日向のせいか?」

「…俺のせいでもあるし,誰のせいでもない」

「悪い結果の時,まずは自分を責める。」

「ッ…」

「でもそれは良い事だと俺は思う」

「え…」

「だって,人のせいにしてないじゃん。でも,自分を責めると誰かが慰めてくれる,それは違うと思うし,俺も慰めてない。日向だってそんな事考えてないだろ?」

「もちろんです!」

「だから心配しない!これから日向は更に更に上へ昇って行くんだと思う。こんなんで止まってちゃダメだべ!」

「はい!」




「菅原,日向くん!挨拶!」

「はーい!」

「はい!」




「「『ありがとうございました!』」」








「偉い思い詰めた顔やな」


『!』

「お疲れ,あなたちゃん」

『お疲れ様です。_北さん』




私の所に,スポーツドリンクを届けてくれたのは

北さんだった。





「手応えはあったか?」

『…ありました。』

「勝てるかもって思って,双子を信用して勝ったんか?」

『…はい。でも今回は…』

「…」

『感情任せやったと思います』

「…そうやな」

『…次,北さん達のチームですよね。頑張ってください』

「…」


少し,涙ぐむように見えた。

流石に,泣いてる女の子を見過ごすような事はしたない。


「あなたちゃん」

『…は,い?』

「あの双子にも言われたやろ?"泣いてえぇ"って」

『!』

「俺は侑達ぐらいのあなたちゃんに対する信頼はない。けど,俺のところでも泣いてえぇんやで」

『北,さん…』

「ほれ,おいで。」




今まで聞いた事がないぐらい,暖かい声だった。

私は駄目な人間なのかもしれない。

北さんにまで迷惑かけて…

すみません





「…」

『ッ~…大丈,夫です』

「泣きながら"大丈夫です"って言う女の子は大丈夫とちゃうよ」

『!』


私が躊躇していると,北さんは寄ってきて…


「ほら,な」


ギュッ


『ッ…グスッ』


強く,優しく,抱き締めてくれた。

ツム兄達とは違う安心感に気が揺らいで

北さんが届けてくれたスポーツドリンクが手から落ちてしまった。

本当はこんな所誰かに見られたら,誤解される…

でも,離れようと思わなかった。



「あなたちゃんは,俺が会ってきたどの女の子よりもえぇ子や。美人さんで,優しくて,双子の面倒も良ぉ見て,頑張り屋さんで…でも,あなたちゃんは頑張り過ぎや」

『はッ,い…』

「たまには,誰かを頼ってみ?俺はいつでも待っとるよ」

『はい…はいっ!』

「えぇ返事や。」






「誰かに見られたら,稲荷崎の歴史になるぐらいやで,全く…北のアホ」

↑陰でひっそり様子を見ていた,アラン君。





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