第27話

特別編「マフィアパロ」
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2020/09/07 15:24
「信介!烏野が攻めて来たで!」

「今集められるので何人や?」

「70人くらいです」

「烏野は?」

「その3倍は居る!」

「……良し,直行や」

「「「了意!」」」

「侑,治。」

「「はい」」







「何で呼びに行くんに,お前と一緒に行かなあかんねん」

「それはこっちのセリフやわ」

「はぁ…ま,北さんの命令やし」

「俺らの"妹"やしなぁ」

「シャーないか」











月が輝く星空の夜。

街の光が綺麗で良く見惚れる事もある

下は何やら騒がしいみたい…



『はぁ…』



暇だなぁ…。



その時,


「今日10回目のため息やよ,姫」

「ため息ばっか着いとるとせっかくの美貌が台無しやで」

『うるさいなぁ,私かてため息くらい着くわ』

「ま,そんな事より」

「襲撃や」

『…。』




やろうなぁ。

北さんらだけでも相手出来やんだって事か。



『……分かった。』

「着替え手伝おか?」

『遠慮します,この変態が』

「ホンマやで,ツム」

「冷たない⁉︎」

『ま,武器くらいは頼もかな』

「「了解」」



ここにいる時の私服は着物。

赤と白の着物に,背中には狐の柄

着物を脱いで黒の袴に着替える。

その着物には同じく狐…



『…ん。』



良し,着れた。



「そんなエッロい声出すなや」

『聞いてたサム兄も変態やな』

「俺は護衛やもん」

『今から戦うんに,護衛も何も無いやろ』

「まぁな。」


「ゴラ,サム!てめぇ普通にあなたの着替え見とるやないか!」

「だから俺は護衛やて言うとるやろ」

「嘘つけぇ!」

『はいはい。で,持って来てくれたん?』

「どうぞ,お姫様」

『ありがとう』




『………それじゃあ,殺ろか』

















「おう,烏野の総長」

「稲荷崎総長,北信介」

「今日は俺らに何の用や?」

「元を言えばこっちのセリフだ。お前達の幹部がウチの資料を奪った」

「は?」

「この前烏野に行ったのってツムやんな?」

「アイツ…また余計な事したんか」

「北,顔怖いで」

「その資料は,自分らにとって大事なもんか?」

「あぁ。」

「…んでも,こんなに大事にしてタダで渡すのもなぁ…」

「…」



「北さん!」

「"姫"が着きました!」




『来ましたよ,北さん』


すると,北さん以外の稲荷崎組員が膝をつく。

北さんは私の方へ歩いてきて,私は手を差し出す。

そして北さんは私の目の前で膝をつき,差し出した手の甲にキスをする。



「…来てくれて,ありがとうございます。姫」

『いいえ,暇でしたので』

「力をお貸しくださいますか?」

『はい。』



「スガ!」

「大丈夫か?」

「うん。なぁ,見ろよあれ」

「あれは…?」

「あんな人,稲荷崎の組員にいたっけ?」

「稲荷崎組員全員があの女性に敬意を表した…」

「誰だ?」


「おーい!」

「旭さーん!」


「あ,田中と西谷」

「あの女の人,稲荷崎の裏歴史として語られてる秘密構成員だ!」

「秘密構成員?」

「宮ツインズの妹らしくて,今月島達が内側から入ってる!」


その瞬間,烏野達の無線に声が通る。


〈皆さん,月島です〉

「おう!データ保管機関には行けそうか?」

〈今,山口と他の部下を連れて中に潜入したのですが…〉

「どうした,何があった?」

〈先に様子を見に行った部下が,全員殺られてます〉

「何⁉︎」




『…クスッ』



「月島,無理はするな。行けるところまでで良い」

〈分かりました〉



『澤村さん』

「!」

『でしたっけ?』

「…貴女は,稲荷崎の秘密構成員の方ですね?」

『そうですなぁ。』

「貴女のお兄さん達が奪った我々烏野のデータを返して貰いたい」

『そんな事したんか,ツム兄,サム兄?』

「悪いんはコイツや」

「はぁ?何人の事売っとるんじゃ!」

「俺はやめとけって言うたやろ」

『どっちでもえぇわ』

「「…」」

『北さんは?』

「俺は決して指示を出したわけでも無いし,コイツらの独断行為や」

「「ギクッ…」」

「処分はする,データは姫が決まればえぇ」

『…。』



「偉くご立派なお姫様な事」

「……田中」

「はい」

「あの女性について調べておいてくれ。」

「え?」

「これから烏野と稲荷崎が戦う為の重要参考人になりそうだ」



『……大人しく返しましょう』

「角名。」

「はい。」

『いや,』

「「?」」

『先程,烏野の幹部が2人データ保管機関に入ろうとしたらしいので回らせてみましょう』

「…」

『ふふっ,どこまで持つやろなぁ。』

「……怖いお姫様や。」






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