第10話

仁花ちゃん
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2020/06/01 22:09
「「「いっただっきまぁす!」」」



「うめぇ!すげぇうめぇよ!」

「なんでこんなにうまいんだよ!」

「なんで泣いてんの…」



「美味しいです!」

「良かったね!」

「鍋足りて良かったな!」



「あなたー,おかわりいるー?」


『〜,…〜』

「コクッ,〜」

『〜…〜』

「…〜」





「あの2人,何してるん?」

「バレー教えとるらしいよ。元々仁花ちゃんは基礎とかは本で覚えとるらしいわ,それ以上の知識とかを教えとんのやろ」




『トスをあげるセッターはコートの中で1番頭を使うポジションや』

「そうなんですか?」

『相手をいかに騙す事が出来るか,相手のブロッカーの位置,味方のスパイカーの配置。それを全て頭に入れて誰にトスを上げるか,誰に上げれば1番最善かを考えるんや』

「凄いですね,セッター!」

『私だってそうなんや。セッターのトスがないと打てへんし』

「ウィングスパイカーは点を決める1人なんですよね?」

『うん?』

「じゃあ,とても凄い人じゃないですか!あなたさんもスパイクだけじゃなくサーブ一本で1点取れるぐらいじゃないですか!凄いですよ!」

『…本当』

「?」

『変な子やね』

「えへへ」

『ふふっ,あっはっ!』




「あなたが笑った…」

「うん,笑った…」

「なんや,あなたちゃんそんなに笑う事ないんか?」

「いえ,昔からよく笑う子やったんですけど…」

「最近は無理して笑顔作ってるっていうか…」

「どういう事や?」

「普段は誰かの前やと笑ってるんやけど,夜に布団の中に入ると何を思い詰めてんのかちょっと悲しい感じの顔になってそのまま枕に顔を埋めて…」

「それに気付いたのはツムでした。そんな思いして欲しくないって言うて」

「それで毎晩ベッドの中に入り込むんか」

「「…はい」」

「あなたちゃんもちゃんとした15〜6の女の子や,思い詰める事だってあるやろ。自分らもそうやけど,あなたちゃんはいつか大人になるんや。いつまでもお前らの面倒見とちゃうんやで」

「「はい…」」

「でも,それを分かってあげられるんは自分らや。あなたちゃんの1番の理解者になってあげるんやで」

「「はい!」」





『よし,やっちーすぐに物事覚えんで助かるわ』

「えへへ…」

『後は実践あるのみや!』

「はい!」

『洗い物終わったら外出よか』

「頑張ります!」











「ふわぁー」

「まだ風呂残ってんだ。寝るなよ」

「分かってるよ!でも腹一杯になると睡魔がぁ…」

「今寝るなって言ったばっかだろうが日向ボケェ!」

「あ,あれは…」

「あ?」

「あなたさんと…」

「谷地さん…」






『行くでー,よいしょ』

「あっ,えと,えと…」



この子,結構な運動音痴なんやな



『ちょっとトス高い?もっと下げよか?』

「お,お願いします…」

『なんだろうなー…こう上にあるボールを自分の手がネットになった感じで1回沈めるように受け止めて,受け止めたのをバネに変える感じや』

「なるほど…」

『ほな,行くで』

「はい!」

『よいしょ』



受け止めた動きをバネに…変える!


「っ!」

『そう!上手い上手い!』

「やった!」

『よく出来たね!』

「はい!」



「谷地さん,あなたさん,女子の入浴時間ですよ」

「あ,はい!」

『おーきに!』












「い,一緒に寝てる⁉︎」

「そう」

「高校生ですよね⁉︎」

「そうや」


「あはは…」

『…ブクブクブク』


「宮ツインズは仲が良いというわけでもなく悪いという訳でもない。その間におるんがエースや。」

「あなたさん!毎晩ですか⁉︎」

『…うるしゃい…』

「今となっては慣れとるらしいで」

『だって出てかんのやもん!足で蹴り飛ばしてもすぐに戻って来る!』

「そらあかんわ」

「ちゃんと話し合ったら,やめてくれるんじゃないですか?」

『うーん…それこそ無駄っていうか,別に寝られてもいいっていうか…』

「それって…」

「言わなくていいよ仁花ちゃーん」

「あ,はい!」

『言わなくてえぇってなんやねん』

「気にしたらあかん」









「嫌や嫌や!」

「絶対嫌や!」

『…』



「こりゃまた大変な事になりますなぁ」

「…」

「北さん怖い」



「本当だったんですね…」

「コートの中では最強コンビ,寝んねの時は駄々っ子やなぁ」



「頼む!」

「お願いや!」

「「俺らと一緒に寝てやぁ!」」

『えぇ加減にしな!』

「「ヒィ‼︎?」」

『高校2年にもなって何が"妹と一緒に寝たい"や!しかもここは家とちゃう!』

「嫌や!」

「嫌や!」

『嫌やとちゃうねん!言うこと聞きな!』

「「絶対嫌や‼︎」」



「そろそろあいつら頭にドライアイス乗せて頭冷やした方がえぇんとちゃうかな」

「北さん,ドライアイスは頭溶けんで」



「「あなた,頼む!」」

『あかん!』

「俺らが女子の方行ってもえぇから!」

「逆に俺らのとこ来てもえぇから!」



「俺らの意見は?」

「無視だろな,今あの2人の頭の中に俺らはいねぇよ。妹=命や」

 


『嫌!なんでいかなあかんの⁉︎むしろ女子の中に自分ら入れたらそっちの方があかんわ!』

「じゃあこっち来てや!」

「他の男絶対近付けへんで!」

『いやむしろ近付きたくないと思うよ。ね,月島くん?』


「そうですね」

「おい!」


『諦めな』

「嫌や!」

『なんでなんよ?なんでツム兄とサム兄はいつも私と寝やなあかんの?』

「いやぁ…」

「それはー…」

『…ま,これ以上他の人に迷惑はかけれへんし,そう言うことでいいですか?烏野さん』

「まぁ俺達はなんとも…」

「気にしないので良いですけど_」



「どうするよのやっさん」ドンッ

「どうしような…」バコッ


「見なかったことにしてください」


「大地さん,痛ぇんだけど…」

「ぬぐぐ…」



「「ヒィ‼︎?」」

「「ギロ…」(あなたに手ェ出したら殺す)






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