説明ならもっと早くして欲しかったと思ったのは内緒。
とナムジュンさんは柔らかく笑った。
でも私にしてみたら迷惑この上ないわけで。
第1、ルールだからといって"はいそうですか"と納得できるような問題じゃない。
そもそも、私はルール自体知らなかったのだ。
副会長=会長の恋人なんて無理だ。
忘れる?
確かに、ジミンに何でもすると言ったのは私だ。
でも。
私の反論は、急になったガンッ!という大きな音にかき消された。音の出処はユンギ。
彼の足が、テーブルをけった音だった。
そこで言葉を切り、目を細めながら加えたタバコに火をつける。ゆっくりと吐き出された紫煙が消え去る前に、彼はもう一度口を開いた。
バカにしたような言葉。違う。間違いなくバカにしたのだ。
ギリと握りしめた拳が、力を込めすぎて熱く感じられる。
何も、知らないくせに。
人をただの"温室育ち"だと決めつけたような態度と物言いに、ふつふつと怒りが湧き上がる。
ギッと、生徒会室にいる全員の顔を睨みつける。
嫌いなのよ、貴方達なんて。
見据えた先の彼はゆっくりと口角をあげる。
それすらも、不快で仕方がない。
くるっと扉の方へ体を反転させる。
数歩足を進みた時、
黒い彼に、初めて名前をよばれた。
振り返ることもせず、その場で足を止める?
その言葉をどう捉えればいいのか。
それだけ言い残し、外の世界へと身を投げた。
Next➥
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。