電話を終えた彼は、爽やかに笑った。
さっきからちらほら見る学ランの生徒のことだろう。
にっこり、彼はそう言った。
ソクミナが言った通りに、急ぎ足で商店街から離れた。
そんなに慌てるほどの自体なのだろうか。
まだ空だってこんなに明るいのに。
ドギョマの考えが、私に分かるはずないけれど。
バンタン学園の男子生徒も女子生徒も、軽々しく名前を読んだりしない。
テヒョンさんだとか、キム先輩、だとか。仲良さそうな人でさえ、名前に"さん"をつけるのだ。
そんな中で『テヒョニヒョン』だなんて呼んでるドギョマ。
どういう立場なのか少し気になった。
こんな爽やかな人でも、不良の中で中枢の位置にいるのか。どこからどう見ても"サッカー少年"なのに。
その声につられて前方を見る。
指さした先には、大きな高層マンション。
その高級感漂うマンションの前に、
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。