第47話

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2020/09/19 11:15
ジョングク
ジョングク
・・・ざけんなよ



低い声が、私の鼓膜を震わせた。


ジョングク
ジョングク
人に送迎だのなんだのさせといて買い物だぁ?んなもんテメェの金持ちお父様にでも任せときゃいいだろうが!



バイクに跨ったまま、彼はガッと私の胸倉を掴む。


ナムジュン
ナムジュン
ジョングガ!
ジミン
ジミン
グガ!だめだよ!
ナムジュンとジミンが留めに入ってくれるけど、カレの怒りの色は治まらない。


ジョングク
ジョングク
わがままも大概にしろよ、クソガキ



ギリ、と1度だけ胸倉を掴む手に力を込めた。殴りたい気持ちを我慢してるのかもしれない。


でも、


U
U
『わがままも』、ですって・・・?



くらりと、湧き上がった感情のせいで視界が微かに揺れた。


望んでもないこの状況に、我慢してるのはこっちの方だ。


パシっと、ジョングク野手を振り払う。


それが予想外だったのか、枯葉少しだけ目を大きくした。

U
U
ふざけるな、はこっちのセリフよ



あの女たちも、生徒会の人間も。


何も知らないくせに、好き勝手な事ばかり。


U
U
"護ってやる"気なのか知らないけど、そんなの押し付けられてる私の方が迷惑よ!文句があるなら辞めればいいじゃない!



叩かれたり、掴まれたり。本当、うんざりだ。


U
U
私は1人がいいのよ!生徒会の仕事があるならちゃんとやるわ!だからそれ以外で私に近寄らないで!!



誰も、私の邪魔をしないで。


馬鹿馬鹿しい。


バンタン学園の人間も、彼らも、私も。


ジミン
ジミン
あなたちゃん・・・



ジミンの戸惑った声に、少しだけ息が苦しくなった。


テヒョン
テヒョン
・・・あなた



今まで黙って事を見ていたテヒョンが急に私の名前を呼ぶ。


返事をしないまま、顔だけ彼の方に向けた。


バンタン学園のトップ。


テヒョン
テヒョン
今日、何もなかったか?



それは屋上でのことを言っているのか。


それとも、学校を抜け出してからのことを言っているのか。


どちらにしても、


U
U
えぇ。何もなかったです、会長
テヒョン
テヒョン
・・・そうか



呟いた彼はゆっくりと私に近づく。


何をするのかと思えば。


くしゃっと、1度だけ私の頭を撫でた。


テヒョン
テヒョン
ならいい。・・・帰るぞ



そのまま私に背を向けて歩き出す。


ジョングク
ジョングク
・・・チッ



舌打ちが聞こえたかと思えば、鳴り響くのはバイクのエンジン音。


何も言うことなくジョングクはこの場から走り去った。



















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