第6話

6
1,065
2021/06/24 10:53


『ジョングク~~!大丈夫~~??』

あなたの声がする

やばい…ワインを一気飲みなんて何回もするんじゃなかった



あなたに久々に会えてテンションが上がってお酒のペースを完全に間違えてしまった


夢の国に行っていたらしい
薄ら目を開くと心配そうにしたあなたの顔が目の前にあった




「あなた…?」


『飲みすぎたみたいだね…顔色は悪くはないけど気分はどう?』


レストラン個室部屋専用のトイレの洗面所でうずくまっていたようだ


「~~~~~~~////」


恥ずかしすぎる

こんな姿をあなたに見せてしまうなんて
ダサすぎる
死にたい…

ジョングクは今の状況に絶望するかのように、頭を抱えてうずくまった


『ジョングク?あれ?また寝た!?』


あなたは冷たいおしぼりを首に当ててくれる
冷たくて気持ち良い


少し目を開けると、あなたの左手には水の入ったペットボトルが
慣れたように俺を介抱してくれていた


「…起きたよ…ごめん。ほんと」


『いやいや私が飲ませすぎたわ。ごめんね。もう店出よう!どこのホテル取ってるの?』


あなたはテキパキとスマホを取り出して調べてくれようとしている



「…ホテルはここだよ」


『え!?』



「ここのホテルの部屋を取ってるんだ」


俺はポケットに入れていた部屋のカードキーを取り出す

なかなか勝手に出歩けなくなってしまった今は
食事はホテル内で取ることが多い

警戒されると思ってあなたにはそこまで伝えていなかった



『わ!ほんと!?良かった!じゃああと少しだから頑張って』


あなたは「立てる?」って俺に気を使いながら
肩に俺の手を回させてゆっくり立ち上がる

あなたの髪から甘い香りがする
急に意識してしまい頭がクラクラする
顔を上げるとすぐにあなたの顔があったので上げられず
俯きながらジョングクは、あなたに支えられながら店を後にした




~~~〜




ドサッ


私は振り落とすような勢いで
ジョングクをベッドにおろした

優しく置いてあげるなんてそんな余裕はなかった


店の人が心配して部屋まで送りますとか言われたけど
これがBTSのジョングクだとバレたら
ちょっとしたヤフーニュースだ

必死に一人でジョングクを抱えて部屋に連れ来たのだ


と、言ってもジョングクも必死に歩いてくれたので
私は支えたぐらいなんだけどね

それでも背が高くて鍛えられた身体は重くて
支えるだけで一苦労だった


「ん…」

ジョングクはベッドに叩きつけられた衝撃(?)で少し目を覚ます


あなたはペットボトルの水をベッドの横のディスクに置く


『ジョングク!ここに水置いとくから飲んでね!明日早いの?アラーム今のうちかけとけば?』

あなたは息を整えながらおかんみたいなことを言う


部屋を見渡すとかなり広い部屋
さすが都内トップレベルの高級ホテル

他のメンバーもいるのかな?

ってか、あまり長居するのはまずいんじゃ…




ピンポーン




そんなことを思っていると部屋のインターフォンが鳴る



「ジョングガーー!帰ったのかー!?」

ドアの向こう側で韓国語が響く


まぁまぁ遅い時間なのにこんなに叫んでいいの?

あなたは振り返ってドアの方を向く



「ちゃんと帰ってきたのー?ドアが閉まる音したけど!」

もう一人の声がする
男の人2人いるみたいだ


もしかして…



「ヒョンたちだ…」


ジョングクはバッと起き上がる


『え!ヒョンって…』


BTSのメンバーってこと?



「俺、ちゃんとあなたのこと話してないんだ…」


『え!話してなかったの?』


「うん…あなたのことなんて言えばいいか分からなかったし、言うと色々と面倒かなって思って…」

ジョングクはオドオドしながら答える
でもまだ酔いも回ってそうだ


『えー!普通に日本の友達と会うっていえばよかったのに…』

あなたは小声で言う






「ジョングガーー!おーい!」

外からまた声がする



どうしよう…
私がここにいるのバレたら、状況的にかなりマズイ

そう思っていると



「テヒョン、もう寝てるんじゃない?ドアの音はしてたから帰ってるよ」

もう一人の男の声がする


「…そうだな。酒でも飲んでるんだろ。寝てるかもね」

ジョングクの名前を叫んでた声が答える


しばらくすると部屋のドアの前に人の気配が消えたように感じた




『…ジョングク、行ったっぽいよ』


「…そうみたいだね」



二人で向かい合って息を潜めていたが、緊張感が一気になくなった


『はぁービックリしたぁ…。ちゃんと帰ったか確認に来るとか本当に愛されてるんだね』

あなたはフッと笑う


「うれしいんだけど、俺はもう24歳だから過保護なのはやめてほしいよ…」

ジョングクも笑いながら言う



『体調はどう?』


「今の衝撃で目も覚めたし、酔いも少し落ち着いたみたい…」

ジョングクは笑いながらあなたが用意してたペットボトルの水を飲む


『wそりゃよかったわ』


あなたは笑いながら立ち上がる



『じゃあ私帰るね!今日は本当ありがとう』



するとジョングクは目を丸くして思わずあなたの手首をつかむ


「もう帰るの?」


『え?だってもう遅いし、電車で帰りたいから…』


「明日は仕事?早いの?」


食い気味でジョングクは聞く

今日は金曜日。明日は休みで、午前中は特に予定はない…


その間を読み取ったのかジョングクの手に力が入る



「せっかく日本に来て、やっと会えたんだよ?もう少しあなたと話したい」



これがあの黄金マンネ、ジョングクか…
彼の上目遣いのお願いに断れる人はいるのだろうか

あなたはうーんと唸る


「あなた…お願い!」


『…じゃあ1時間だけ…』

ジョングクはパアと笑顔になる
あなたはその笑顔に思わずつられ笑いした






プリ小説オーディオドラマ